第20回【レポート編】近畿大学通信教育部の司書レポート例|情報サービス論の合格レポートと書き方・考え方
1 はじめに
【この記事で分かること】
・実際に提出して合格した「情報サービス論」のレポート(一部改変)を紹介します
・「情報サービス論」のレポートを、どのように考え、どのような構成で作成したのかを解説します
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
提出するたびに「また再提出かもしれない」と不安だったことを、今でも覚えています。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、レポート作成について悩んでいる方も少なくないと思います。
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「図書館サービス概論」の合格レポート(一部改変)を紹介します。
あわせて、このレポートを作成する際に、わたしが意識した考え方や構成のポイントも解説します。
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「情報サービス論」のレポートです。

レポートの書き方に自信がない方は、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」も紹介しています。
急がば回れで、レポート作成前にこの2冊を読むことを本当にオススメします。

2 情報サービス論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2023~2024年度)より
設題(字数指定 2,000字)
「大学図書館における利用指導の内容7点を挙げ、それぞれについて簡潔に述べた後、利用教育の手段についてはどうあるべきか最近の動向にも配慮し、貴方自身の考え方を含め論じてください。」
※この設題およびレポートは、わたしが受講した当時のものです。現在の設題・教材等とは異なる場合があります。
3 情報サービス論の合格レポートと講評
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、どのような意図で構成したのかが分かりやすくなります。
【レポートで意識した点】
【1はじめに】
レポートの導入部分として、どのように論述を展開するか記載した
【2大学図書館における利用指導】
大学図書館における利用指導7点について簡潔に要約した
【3利用教育の手段】
大学図書館のホームページを検索した結果、学びがあると感じた「東京学芸大学附属図書館」の取組みを紹介した
その内容を踏まえて、利用教育の手段について意見を論述した
【合格レポート全文(一部改変)】
提出日:2025年02月02日
1 はじめに
「図書館利用教育ガイドライン・大学図書館版」では、大学図書館における図書館利用教育を、「自立した情報利用者の育成を目的として大学コミュニティの全構成員を対象に体系的・組織的に行われる情報教育を指す。」と定義している(1)。
本レポートでは、はじめに、情報サービス論の講義テキスト(2)などを参考にして、大学図書館における利用指導の内容7点を説明する。
その後、利用教育の手段について、最近の動向を踏まえつつ、その在り方がどうあるべきかについての意見を記述することとする。
2大学図書館における利用指導
①オリエンテーション
図書館の施設とサービスを案内する手法として、主として新入生を対象に実施するものである。オリエンテーションは、サービス案内の第一歩として図書館の利便性や利用方法等について簡潔に説明を行うものである(3)。
②図書館ツアー
これから初めて図書館を利用しようとする人たちに有効な手法である。図書館ツアーでは、利用できるサービスの説明、館内のサービスポイントの案内と説明、レファレンスブックの紹介等を実施する(4)。
③OPAC検索・カード検索指導
図書館利用者が、大学図書館等に所蔵された資料等を適切に検索できるよう、OPAC検索やカード検索についての知識や技能について指導を行うものである(5)。
④文献探索法(文献調査法)
利用者が必要とする文献資料を適切に探索することができるように指導を行うものである。
本、雑誌論文及び新聞記事探索等を行う一般的文献探索法と、より専門性の高い主題別文献探索法に区分される。
⑤コンピュタリテラシー教育
パソコンを使用する情報機器操作法、通信方法、インターネット利用方法等を指導するものである。
⑥レポート・論文を作成するためのステップ指導
レポート・論文を作成するために必要となるステップを順序よく指導するものである。
⑦視聴覚機器やコンピュータ機器を使っての編集指導
レポート・論文等を電子媒体で提出する必要がある場合に、パソコンを活用して編集・提出ができるように指導するものである。
3利用教育の手段
利用教育の手段には、映像資料の利用、パソコンの利用、印刷物の利用などが挙げられる。
映像資料の利用及びパソコンの利用では、東京学芸大学附属図書館(以下、芸大図書館と記載)の取組みを紹介したい(6)。
芸大図書館では、学部1年生への情報リテラシー教育として「入門セミナー」という授業を実施している。
当セミナーは、利用案内やツアーを行う「図書館ガイダンス」と、図書館の資料検索法を学ぶ「文献検索セミナー」の2パートからなる。
このセミナーの資料は芸大図書館のホームページ上で公開されており、利用者がいつでも閲覧可能な状況になっている(7)。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大があった2020〜2021年度においては、自宅学習ができるよう芸大図書館のホームページにおいて、動画コンテンツを提供しており、これは現在でも視聴が可能である(8)。
入門セミナーの講義資料は、適宜内容の見直しが行われており、近年の見直しとしては、著作物の利用についての説明の追加や、文献セミナーで実際に「書架から本を探す」実習の追加が行われている。
次に、印刷物の利用では、テキストやプリント資料など多種多様な資料が作成・利用されている。
従来、印刷された資料は図書館内で配布されて利用されることが多かったが、情報通信技術が発達し、各図書館のホームページにおいて資料を掲載する事例が増えている。
例えば、国立国会図書館サーチのホームページでは、「公共図書館パスファインダーリンク集」が作成されており、これを利用すれば、全国の公共図書館が作成したパスファインダーにアクセスすることができる(9)。
このように、利用教育の手段は情報通信技術の発達を背に多様化してきている。
ホームページで動画視聴やプリントアウトが容易に行える環境が整備され、図書館に行かず自宅でも教育を受けることができる点で、利用者にとって利便性が向上していることは間違いない。
こうした状況下で、より多くの人の情報活用能力を育成するためには、情報リテラシー教育を適切に展開していくことが重要である。
利用教育は、人々が情報リテラシーを獲得する支援を行うことを目標として実施されるものであるから、利用者にとって、どのような利用教育の手段が適切かを常に念頭に置きつつ、情報リテラシーを身につけていくための段階的かつ体系的な教育プログラムを策定し、組織的に実施していくことが必要である。
そのためには、利用教育の手段を、指導したい内容に応じて適切に使い分けると同時に、これまで利用していなかった利用教育の手段も潜在的なニーズがあれば、積極的に導入する姿勢が必要ではないだろうか。
【参考資料等】
(1) 日本図書館協会図書館利用教育委員会編 『図書館利用教育ガイドライン合冊版-図書館における情報リテラシー支援サービスのために』 社団法人日本図書館協会 2001年初版、38〜39頁
(2) 毛利和弘 『情報サービス論 [改訂版]』 近畿大学通信教育部 令和元(2019)年、78〜80頁参考
(3) 日本図書館協会図書館利用教育委員会編 『図書館利用ハンドブック・大学図書館版』 社団法人日本図書館協会 2003年初版、32〜85頁
(4) 上記(3)、85〜86頁
(5) 上記(3)、97〜103頁
(6) 眞鍋美咲ほか4名 「『大学の学びのサイクル』を意識した情報リテラシー教育」 『大学図書館研究』 126号(2024.9)
(7) 東京学芸大学附属図書館 「https://lib.u-gakugei.ac.jp/learning/seminars/2024」(参照 2025-2-2)
(8) 東京学芸大学附属図書館 「https://lib.u-gakugei.ac.jp/learning/online/guide」(参照 2025-2-2)
(9) 国立国会図書館 「https://ndlsearch.ndl.go.jp/navi/plan/pubpath」(参照 2025-2-2)
【合格レポートの講評】
良いレポートの一つになりました。
論述内容、巻末参考文献の活用も高く評価できます。
4 情報サービス論のレポートで合格するために意識した3つのポイント
①まずは正確な設題理解
わたしは、レポートが合格するためには、丁寧に設題を理解することが最も大切だと考えています。
今回のレポートで問われているのは、わたしの言葉で書けば、
「大学図書館における利用指導の内容7点を説明してください。そのうえで、利用教育の手段について、最近の動向にも配慮しながら、あなた自身の考えを論じてください」
だと考えました。
したがって、レポートで重点を置くべきポイントは、
・大学図書館における利用指導の内容7点を簡潔に述べること
・利用教育の手段について、最近の動向を踏まえて論じること
・利用教育の手段について、自分の意見を述べること
だったと思います。
大学図書館の利用指導について検討することで、大学図書館における利用教育のあり方について、基礎的な視点を身につける。
その重要性を考えさせられるレポートだと感じました。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポートを作成するときに大切なことは、
「何を書き・何を書かないか」
「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」
です。
しかし、文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。
そこで、わたしは次のようなポイントを一つひとつ確認しながらレポートを書きました。
・「設題に、理解できていない用語はないか」
・「問われていることは何か」
・「外したらいけないポイントはどこか」
・「どの程度の説明をすれば過不足がないだろうか」
・「どんな順番で文章を並べたら、読む人に伝わりやすいか」
・「文字数が足りないときは、具体例を入れると分かりやすいのではないか」
・「文字数が多いときは、削れる表現がないか、もっと短い文章で書けないか」
こういったポイントを一つひとつ確認しながら書いていけば、レポートの完成度は確実に上がります。
逆に、こうしたポイントを押さえられていないと、設題から外れたレポート(不合格)になってしまう可能性があります。
③講評から、評価されたポイントを考える
今回のレポートは2回で合格することができました。
設題を適切に理解できた結果だと考えています。
先生からは、
良いレポートの一つになりました。
論述内容、巻末参考文献の活用も高く評価できます。
という講評をいただきました。珍しく褒められました。
内容については、
先生から評価されたポイントを振り返ると、「何を問われているのか」を意識してレポートを書くことができたのではないかと思います。
「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」
レポートとは、究極的には
「設題に正しく答える文章を書くこと」
なのかもしれません。
5 まとめ
今回の記事では、近畿大学通信教育部図書館司書コースの「情報サービス論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べると分かりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートを評価するのは先生です。
だからこそ、文章を書くときには、常に読み手(先生)の立場に立ってください。
そして、レポートが書けたら、改めて、読み手(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分が書いた文章を、読み手(先生)の立場で読み返すことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読み手にとって分かりやすい文章を書こう」と思って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!
それに、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。

わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。
司書資格は、一歩ずつ積み重ねていけば、ゴールに近づいていけます。
わたしもその経験者です。
一緒に1科目ずつ乗り越えていきましょう。
最後に、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。







