第12回【レポート編】近畿大学通信の司書レポート例|情報資源組織論の合格レポートと書き方・考え方

そかを

1 はじめに

こんにちは、そかをです。

30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。

振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。

近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。

しかし、

わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

そかを
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ですから、司書コースで学習中の方には、

・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない

というように、レポート作成に関する悩みを抱えている方も少なくないと思います。 

そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「情報資源組織論」の合格レポート(一部改変)を公開するとともに、レポートで評価された考え方や構成のポイントを解説します。

・実際に提出し合格したレポート(一部改変)を掲載します。

・どのような考えでレポートの構成を組み立てたのかを解説します。

「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。

今回は「情報資源組織論」のレポートです。

そかを
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「レポートの書き方そのものが不安な方は、まず第10回の記事をご覧ください。」

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2 情報資源組織論のレポート設題

図書館司書レポート設題集(2025~2026年度)より

指定したキーワードをすべて使って、各設問の解答を完成させてください。
(字数指定2,000字)

【設題1集中目録作業と分担目録作業】
1.現在、多くの公共図書館や大学図書館で、外部の書誌データを利用した目録作成業務が行われています。

集中目録作業と分担目録作業〔=共同目録作業)、それぞれの特徴(意味や役割、課題など)を明確にし、さらに今後の目録作成業務のあり方について自らの見解をまとめてください。(1,000字)

<キーワード:MARC、集中目録作業、分担目録作業、総合目録、書誌ユーティリティ>


【設題2NDCの分類を活用することの意義や課題】
2.地域の図書館(公共図書館)での現地調査もしくは調査対象館のHPの蔵書検索により、「蔵書の所在記号(背ラベル)の付与のしかた」について複数ケースを洗い出し、気づいたことをまとめてください。

さらに、調査で得た内容や関連情報をもとに、書架分類と書誌分類という二つの点から、NDCの分類を活用することの意義や課題について考察してください。

尚、調査対象館は“NDCを採用する近隣の公共図書館”で、取り扱う情報資源は“NDCが付与されている紙資料”とします。(1,000字)

<キーワード:書架分類、書誌分類、目録、配架(テキストでは排架を使用)、所在記号>

3 情報資源組織論の合格レポート

まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、構成の意図が分かりやすくなります。

設題が2問ありますので、設題1→設題2の順で記載します。

【設題1のレポートで意識した点】
・「1はじめに」では、今回のレポートはどんなことを書くのか明示した

・「2集中目録作業と分担目録作業」では、各目録作業の概要をバランスよく記述することを意識した

・「3おわりに」では、今後の目録作成業務のあり方について自らの見解を簡潔に記述した

【合格レポート設題1「集中目録作業と分担目録作業」について全文】

1はじめに
本レポートでは、集中目録作業と分担目録作業の概要及び今後の目録作業のあり方について記述する。

2集中目録作業と分担目録作業
(1)集中目録作業
集中目録作業とは、「中心となる一つの(あるいは少数の)図書館や組織が他の図書館に書誌レコードを利用してもらうために集中的に目録作業を行うこと」(1)をいう。

現在は、MARCの開発によって、機械可読形式の書誌レコードの作成作業が行われるようになり、目録作業の省力化や標準化に寄与している。

一方で課題も存在する。

例えば、集中目録作業を行う図書館Aと、この頒布を受ける図書館Bを想定する。

AとBが同時期に新刊書を受け入れた場合、BはAから書誌レコードの頒布を受けるまで、新刊書の提供ができないというタイムラグが生じる。

具体的には、国立国会図書館が集中目録作業を行い、その成果として頒布する「JAPAN/MARC」ではこの問題が生じる。

一方で、「図書館流通センター」の「TRC MARC」のように、有償であるがこの問題が生じない民間MARCも利用されている(2)。

(2)分担目録作業
分担目録作業とは、「多くの図書館が共同で書誌レコードを作成し、それを利用することで、各図書館の目録データの作成を効率化する手法」である。「共同目録作業」ともいう(3)。

また、分担目録作業における書誌レコードを共同で利用するデータベースは、参加館が所蔵を登録することで参加館すべての所蔵を検索できる「総合目録」データベースとなり得る。

分担目録作業により、目録作業の効率化や経費削減が期待できる。

一方で分担目録作業には「書誌レコード」の品質をどのように担保するかという課題がある。

多くの図書館が参加するため「目録作業者」の技量が低い場合に、質の低い書誌レコードが生じる懸念がある。
さらに、書誌作成等に積極的な参加館と消極的な参加館が存在する非対称性が課題である(4)。

分担目録作業においては、前述の課題があることから、適切な運用・管理のための組織が必要であり、公共サ
ービスを提供する「公企業(utility)」になぞらえて「書誌ユーティリティ」と呼ばれている。

日本では、国立情報学研究所(NII)が該当する(5)。

3おわりに

目録作成に当たっては、「目録法」と呼ばれるルールがあるが、目録法における原則や規則は時代の変化に応じて適宜、見直しが実施されている。

図書館員には、こうした見直しの内容等について熟知し、利用者の利便性向上に取り組む意識が求められる。

【参考資料等】
(1) 田窪直規編著『三訂 情報資源組織論』樹村房 2023年1月21日発行 74頁

(2) 上記1. 75頁

(3) 上記1. 76頁

(4) 上記1. 77頁

(5) 上記1. 77頁

その他:

・日本図書館情報学会用語辞典編集委員会『図書館情報学用語辞典 第5版』丸善出版株式会社 令和4年12月20日発行

・日本図書館協会図書館ハンドブック編集委員会『図書館ハンドブック 第6版補訂2版』公益社団法人日本図書館協会 2021年6月30日発行


【設題2のレポートで意識した点】
・「1はじめに」では、今回のレポートはどんなことを書くのか明示した

・「2所在記号の付与のしかた」では、現地調査の結果を具体例を用いて簡潔に説明することに留意した

・「3NDCの活用の意義及び課題」では、レポートの要となる部分であり、書架分類と書誌分類という二つの点から、NDCの分類を活用することの意義や課題について考察することを意識した

・「4おわりに」では、NDCの活用状況を調査・確認した感想を簡潔にまとめた

【合格レポート設題2「NDCの分類を活用することの意義や課題」について全文】

1はじめに

本レポートでは、公共図書館における蔵書の所在記号の付与のしかたについての調査結果をまとめるとともにNDCの分類を活用することの意義や課題について記載する。

2所在記号の付与のしかた

①調査対象館:〇〇図書館

②方法:現地調査及びHPによる蔵書検索

③所在記号の具体例:

タイトル:善と悪の生物学 上

著者名:ロバート・M・サポルスキー 出版者:NHK出版

所在記号:(491.3/サ023/上) HP蔵書検索(NDC分類):491.37

④気づいたこと:

・所在記号は、NDC分類との相違がある(桁数の違い)。
・背ラベル中段のカタカナは著者の頭文字、数字は出版年、下段はシリーズなどの巻冊記号である。
・資料の配列順がわかりやすいように書棚に各種案内が提示されている。

3NDCの活用の意義及び課題
NDCは日本における標準的な図書分類法で、この分類表により図書の分類記号を付与することができる。

書架分類とは、「書架分類法」による分類をいうが、書架分類法は、主題などに基づいて資料を所在記号順に
排架する方法である。

NDCは、資料の排架場所を定めるための所在記号を付与する際に活用されている。

書架分類においてNDCを活用することで、利用者は関心のある主題の資料を書架上でまとめて確認することができ便利である。

一方で、NDCを活用した書架分類は、主題が複数ある資料でも、特定の所在記号を付与するため、一箇所にしか排架できないという課題がある。

このため、複数主題をもつ資料を利用者が書架上で的確に発見することが困難な場合もある。

また、利用者が求める資料をその図書館が所蔵しているのか、又は貸出中であるのか等、書架を見ているだけでは解決できないという問題もある

一方、書誌分類は、分類目録の記入を排列するための分類法(2)であるから、NDCの主題分類以外にも必要となるアクセス・ポイントを必要なだけ付与できるなど、利用者の利便性を考えた分出・重出が可能である。

利用者は、書誌分類を活用したOPACを利用し、あらゆる観点から資料を検索することができる。

このように書誌分類は、書架分類の弱点を補うものである。

4おわりに
公共図書館において、NDCを活用した情報資源組織がなされていることを確認できた。

また、利用者が資料を円滑に検索することができるよう、施設の案内(平面図や書棚への表示)に工夫が施されており、利用者目線に立った図書館運営を行っていくことが大切だと改めて感じた。

【参考資料等】
(1) 田窪直規編『三訂 情報資源組織論』樹村房 2023年1月21日発行、6?7頁

(2) 日本図書館協会用語委員会編集『図書館用語集 四訂版』公益社団法人日本図書館協会 2019年6月1日発行、48頁(書誌分類)

○○図書館URL (https://○○) 2025年8月30日アクセス

4 情報資源組織論のレポートで合格するために意識した3つのポイント

①まずは正確な設題理解

今回の情報資源組織論のレポートは2本立てでした。

大きなくくりで言うと前半の設題1は「集中目録作業と分担目録作業」について。

後半の設題2は「NDCの分類を活用することの意義や課題」について記述しなさいと書いてあります。

また、キーワードをすべて使ってと書いてありますので、留意する必要があります。

しかし、キーワードにあまり気を取られる必要はないでしょう。

むしろ、レポートを書く時のヒントと捉えたほうが良い結果につながる気がします。

まずは、各設題に出てくる言葉の意味を押さえましょう。

設題1では、
・集中目録作業とはなにか
・分担目録作業とはなにか
という言葉の意味をしっかり押さえていきましょう。

言葉の意味が理解できると、違いや役割、課題が見えてきます。

また、言葉の定義を調べる際には、複数の文献を参照しました。

具体的には、テキスト、『図書館用語集 四訂版』、『図書館情報学用語辞典 第5版』、『図書館ハンドブック 第6版補訂2版』は必ず参照しました。

複数の文献を参照することで、キーワードへの理解が深まり、設題で何を問われているのかが見えやすくなります。

わたしは、各文献からキーワードに関連するところを抜粋して、読んだ人が分かりやすいように並べ替えることを意識しました。

そのため、結果的に仕上がったレポートは、独自性よりも、「設題に正しく答えること」を優先したレポートになりました。

②レポート作成時の留意事項・ポイント

レポートを作成するときに大切なことは、「何を書いて・何を書かないか」です

今回のレポートは設題が2つあり、1,000字しか書くことができません。

今回の設題では「何を問われているのか?」をいつもより意識して回答するようにしました。

文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。

しかし、大切なことは、「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」です。

・「問われていることは何か」
・「外したらいけないポイントはどこか」
・「文字数が足りないときは、説明が不足していないか、具体例を入れると分かりやすいのではないか」
・「文字数が多いときは、どこか削れる表現がないか、文字数が少ない別の表現で書けないか」

などなど、こういったポイントを押さえていれば合格することができます。

逆にこういったポイントを押さえていないレポートは不合格になってしまいます。

急がば回れです。

そかを
そかを

わたしは、レポートを書く前に文献から使えそうな文章を抜粋します。

そのあと、抜粋した文章をもとに要約するのがいいか、引用したほうが分かりやすいのか考えます

また、先の要約や引用の文章をどんな順番で並べたら、読む人が分かりやすいか、どの程度の説明をすれば過不足がないだろうかも考えています。

③先生が期待するレポートの内容を想定する

わたしは情報資源組織論のレポートを2回提出しています。

そのため、不合格になったレポートの講評がありますので見ていきましょう。
このような講評は、これから学ぶ方にとって貴重なヒントになります。

こういう情報が後から学ぶ方にとっては、お宝なんですよね。

そかを
そかを

【講評一覧】
設題2について
設題で結論部分に求められているのはNDCの分類記号を活用する意義や課題について考察することですが、書架分類と書誌分類の概要や特徴に関する説明に留まっており、NDCに対する言及がありません。

「書誌分類や書架分類を活用する意義や課題」が求められているのではありませんので、注意してください。

まずは書架分類と書誌分類でNDCがどのように使用されているかを考えてみましょう。

現在の図書館では、書架分類は配架場所を決めるための所在記号として、書誌分類はOPACで主題検索を行うために用いられていますが、それぞれにNDCを使用すると具体的にどのようなメリットがあるのか、反対にNDCではカバーしきれない点は何かなど、NDCが備えている様々な特徴を踏まえて意義や課題について考えてみてください。

これらをわたしの言葉で言い換えますと、以下のとおりです。

・NDCの分類記号を活用する意義や課題について考察が足りん!!!

講評をいただき、提出したレポートを読み返したとき、「先生が求めていたことに答えられていなかった」とようやく気付きました。

知識不足ではなく、設題の読み違えだったのです。

結果的にはいただいた講評を踏まえて、レポートを修正し、合格することができました。

やはり、わたしは、丁寧な設題理解こそ最も大切だと考えています。

「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」

レポートとは、究極的には「設題に正しく答える文章を書くこと」なのかもしれません。

その技術の奥が深いというだけで。

5 まとめ

今回の記事では、近畿大学通信司書コースの「情報資源組織論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。

どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。

設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。

その上で、どんな順番で文章を並べるとわかりやすいレポートになるかを考えてみます。

また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートの合格を決めるのは先生です。

したがって、レポートが合格するには、読んでもらう相手(先生)に「このレポートはいいな」と思ってもらうことが必要です。

ですので、文章を書くときには、常に読者(先生)の立場に立ってください。

そして、レポートが書けたら、改めて、読者(先生)の立場で文章を読み直してみてください。

自分の文章を他人(読者・先生)の目線で読むことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。

わたしも最初は書けませんでした。

だからこそ、今、わたしは普段から、「読者にとって分かりやすい文章を書こう」という思いを持って、文章を書くようになりました。

最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。

分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。

このシリーズでは、残りの科目についても、実際の合格レポートと考え方を順番に紹介していきます。

レポートを最初から上手く書ける人はいません。
しかし、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!

そかを
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わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。

最後に、レポートの作成技術を習得するための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

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筆者について
そかを
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【司書資格×FP】
【はじめまして、そかをです】
2026年3月 近畿大学の通信教育部で司書資格を取得しました。

このブログでは、「司書として生きるための人生設計」について書きます。

10年余り務めた安定した仕事を辞めて図書館司書を目指すという、自身の歩みをリアルに記録しながら、かつての自分のように「自分の人生を取り戻したい」と願う人に向けて、以下の内容を発信していきます。

【ブログでお伝えすること】
1. 30代・働きながら近畿大学通信教育部で司書資格を取得した実践記&攻略法
2. 専門性のある「かっこいい司書」になるためのトレーニング記録
3. 司書を目指す社会人のための、FP視点の実践的なマネープラン

【わたしのこと】
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
得意なこと:FP知識を活かした資産運用(投資歴6年、約1,200万円の資産形成)
好きなもの:自然、平穏、猫、温泉、散歩、漫画
大切な言葉:「感動は心の扉をひらく」by 椋鳩十
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