第18回【レポート編】近畿大学通信教育部の司書レポート例|図書館制度・経営論の合格レポートと書き方・考え方
1 はじめに
【この記事で分かること】
・実際に提出して合格した「図書館制度・経営論」のレポート(一部改変)を紹介します
・「図書館制度・経営論」のレポートを、どのようなことを考え、どのように構成したのかを解説します
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学通信教育部の図書館司書コースで学ぶなかで、わたしもレポート作成に苦戦しました。
近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
提出するたびに「また再提出かもしれない」と不安だったことを、今でも覚えています。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、レポート作成について悩んでいる方も少なくないと思います。
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「図書館制度・経営論」の合格レポート(一部改変)を紹介するとともに、このレポートを作成する際に、わたしが意識した考え方や構成のポイントを解説します。
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「図書館制度・経営論」のレポートです。

レポートの書き方に自信がない方は、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」も紹介しています。
急がば回れで、レポート作成前にこの2冊を読むことを本当にオススメします。

2 図書館制度・経営論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2023~2024年度)より
設題(字数指定 2,000字)
「図書館経営の基本思考」における「未来思考」の5点について簡潔明瞭に説明した後、その「未来思考」を受けて、今後の専門職としての司書のあるべき姿を論じるとともに、それに伴う図書館運営のあり方を、貴方自身の考え方を含め論じて下さい。
※この設題およびレポートは、わたしが受講した当時のものです。現在の設題・教材等とは異なる場合があります。
3 図書館制度・経営論の合格レポートと講評
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、どのような意図で構成したのかが分かりやすくなります。
【レポートで意識した点】
1はじめに
本レポートの論点を整理した。
・「未来思考」を要約
・それを踏まえて、司書のあるべき姿と図書館運営を論じる
2「未来思考」について
図書館の将来を考えるには、周囲の変化を把握することが重要とし未来志向に必要な情報5つを簡潔に要約した。
①文教政策
②社会変化
③図書館界
④出版・情報産業
⑤マーケティング
3司書のあるべき姿と図書館運営のあり方
司書のあるべき姿を論拠を示して説明した上で、望ましいと考える図書館運営のあり方について論じた。
【合格レポート全文(一部改変)】
提出日:2025年2月11日
1はじめに
本レポートでは、テキストに記載された図書館経営の基本思考における「未来思考」の内容5点について要約し、それを踏まえて、今後、専門職としての司書のあるべき姿や図書館運営のあり方について論じることとする。
2「未来思考」について
毛利は、図書館の経営や政策を考えるうえで、将来を見据える未来思考が重要であるとし、質の高い未来を予測するために必要な情報を次の5つに区分した(1)。
①文教政策情報
国や地方自治体等の教育行政に関する情報をいう。
こうした情報には、例えば、大学図書館の「大学設置基準」や公立図書館の「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」、著作権法等の法令等が挙げられる。
②社会変化情報
社会変化情報として、情報環境の変化、高齢化社会、高学歴化社会、少子化社会の4つの要因を挙げている。
③図書館界の変化情報
図書館は、母体となる親機関を持つと同時に、図書館界という世界にも属している。
このことから、親機関の方針及び図書館の関係団体の方針等並びに図書館そのものの主体的・自立的変化に関する動向を注視する必要がある。
④出版界・情報産業界の変化情報
近年の電子資料の普及といった出版形態の変化やインターネット社会に関する動向や問題点について的確に把握する必要がある。
⑤マーケティング変化情報
利用者のニーズや社会的ニーズを的確に把握した図書館経営を行うため、マーケティング手法を取り入れた情報収集が重要である。
3司書のあるべき姿と図書館運営のあり方
本節では、はじめに未来思考を受けて今後の専門職としての司書のあるべき姿について次の2点から説明したのち、それに伴う図書館運営のあり方についての考えを記載する。
(1) 司書のあるべき姿
①図書館資料に関する幅広い知識を持ち、利用者が必要とする資料や情報を的確に提供することができる司書
公共図書館界においては、1963年に日本図書館協会が「中小都市における公共図書館の運営」(いわゆる「中小レポート」)を出版した。
中小レポートを参考に図書館運営がなされた結果、「1960年代後半に始まった貸出重視の図書館サービスにより、図書館の数と規模、所蔵資料の蓄積と職員数の増加、図書館利用の飛躍的な増大等がもたらされた(2)」という成果につながった。
一方で、「従来から図書館員の専門性として認識されてきたレファレンス業務等の高度な専門的サービスや関連する専門的業務はおろそかにされた(3)」という負の側面も指摘されている。
こうした状況を踏まえ、これからの図書館サービスには、「レファレンスサービスの充実と利用促進」及び「課題解決支援機能の充実」が求められている(4)。
こうしたサービスに適切に対応していくためには、図書館資料に関する幅広い知識を持ち、利用者が必要とする資料や情報を的確に提供することができる司書を目指す必要がある。
②利用者中心思考や未来思考に基づき、図書館運営の中核を担える司書
図書館が「地域を支える情報拠点」として位置づけられ、「地域や住民に役立つ図書館」として認識(5)してもらうには、図書館の将来像を見据え、図書館運営の中核を担える司書の存在が不可欠である。
筆者は○○県在住であることから、○○県立図書館が令和○○年○○月に策定した「○○県立図書館基本的運営方針」を踏まえて、これを説明する(6)。
同方針では、国の法令や県の施策等に加え、利用者のニーズを踏まえ、県の目指す姿を「人づくりに寄与し、成長し続ける図書館」と明記し、その実現に向けた指標や目標を設定した。
今後、同館は同方針に基づき運営されていくこととなる。
運営方針の策定は、将来の図書館像を描き、これを明文化する作業ともいえるので、その内容の良し悪しは司書の力量に大きく左右されるだろう。
運営方針の策定に関与する司書は、専門職として必要な知識や技術・技能を有し、利用者中心思考や未来思考に基づき、図書館運営の中核を担える人材である必要がある。
(2) 図書館運営のあり方
図書館の運営に当たっては、地域課題の解決支援をはじめ、利用者の視点に立ったサービスを展開していくことが重要であり、そのために必要な司書のあるべき姿や運営方針の重要性を述べてきた。
これからの図書館運営を考えるにあたっては、まずもって、現在、図書館が提供しているサービスや保存する情報資源の分析及び利用者や社会的ニーズの把握を行うことが必要であり、将来的にはどういった図書館を目指していくのかという運営方針や目標を立て、着実に戦略を実行していくことが不可欠である。
また、PDCAサイクルを通じて、サービスの評価を適宜実施し、地域の実情に応じた、地域に必要とされる図書館を目指していくことも必要ではないだろうか。
【参考資料等】
(1) 毛利和弘 『図書館制度・経営論 改訂版』近畿大学通信教育部 令和元年7月1日発行 63〜69頁
(2) これからの図書館の在り方検討協力者会議 『これからの図書館像〜地域を支える情報拠点を目指して〜』 平成18年3月 11頁
(3) (2) 59頁
(4) (2) 12〜13頁
(5) (2) 1頁
(6) ○○県立図書館「○○県立図書館基本的運営方針」 令和2年3月
【合格レポートの講評】
学習・理解はよくできています。
論述内容、巻末参考文献の活用も評価できます。
なお、巻末文献のネット情報には、アクセスURL及びアクセス年月日も必ず記すようにして下さい。
基本書誌事項になります。
4 図書館制度・経営論のレポートで合格するために意識した3つのポイント
①まずは正確な設題理解
わたしは、レポートが合格するためには、丁寧に設題を理解することが最も大切だと考えています。
今回のレポートで問われているのは、わたしの言葉で書けば、
「『未来思考』の内容についてテキストに基づいて説明し、それを踏まえて、今後の専門職としての司書のあるべき姿と図書館運営のあり方について論じること」
だと考えました。
したがって、レポートで重点を置くべきポイントは、
・「未来思考」の内容をテキストに基づいて説明する
・未来思考を踏まえて、司書のあるべき姿について論じる
・司書のあるべき姿を踏まえて、今後の図書館運営のあり方について自分の意見を述べる
だったと思います。
「司書になった自分」と「司書として運営する図書館」。この2つの軸を考えるためにも、「未来思考」という基礎的な視点を身につける。
その重要性を考えさせられるレポートだと感じました。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポートを作成するときに大切なことは、「何を書き・何を書かないか」です。
文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。
しかし、
大切なことは、
「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」
です。
そこで、わたしは次のようなポイントを一つひとつ確認しながらレポートを書きました。
・「設題に、理解できていない用語はないか」
・「問われていることは何か」
・「外したらいけないポイントはどこか」
・「どの程度の説明をすれば過不足がないだろうか」
・「どんな順番で文章を並べたら、読む人に伝わりやすいか」
・「文字数が足りないときは、具体例を入れると分かりやすいのではないか」
・「文字数が多いときは、削れる表現がないか、もっと短い文章で書けないか」
こういったポイントを一つひとつ確認しながら書いていけば、レポートの完成度は確実に上がります。
逆に、こうしたポイントを押さえられていないと、設題から外れたレポート(不合格)になってしまう可能性があります。
③講評から、評価されたポイントを考える
今回のレポートは1回で合格することができました。
設題を適切に理解できた結果だと考えています。
先生からは、
学習・理解はよくできています。
論述内容、巻末参考文献の活用も評価できます。
なお、巻末文献のネット情報には、アクセスURL及びアクセス年月日も必ず記すようにして下さい。基本書誌事項になります。
という講評をいただきました。
「巻末文献のネット情報には、アクセスURL及びアクセス年月日も必ず記すようにして下さい」との指導をいただいたので、以降のレポートでは記載するようになりました。
記載方法については、第13回の記事が参考になると思います。

内容については、
先生から評価されたポイントを振り返ると、「何を問われているのか」を意識してレポートを書くことができたのではないかと思います。
「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」
レポートとは、究極的には
「設題に正しく答える文章を書くこと」
なのかもしれません。
5 まとめ
今回の記事では、近畿大学通信教育部図書館司書コースの「図書館情報技術論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べると分かりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートを評価するのは先生です。
だからこそ、文章を書くときには、常に読み手(先生)の立場に立ってください。
そして、レポートが書けたら、改めて、読み手(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分が書いた文章を、読み手(先生)の立場で読み返すことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読み手にとって分かりやすい文章を書こう」と思って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!
それに、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。

わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。
司書資格は、一歩ずつ積み重ねれば、必ずゴールにたどり着けます。
わたしもその経験者です。
一緒に1科目ずつ乗り越えていきましょう。
最後に、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。







