第13回【レポート編】近畿大学通信の司書レポート例|図書館サービス特論の合格レポートと書き方・考え方
1 はじめに
【この記事で分かること】
・実際に提出し合格した図書館サービス特論のレポート(一部改変)を掲載します
・図書館サービス特論のレポートを、どのように考え、どのように構成したのかを解説します
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学通信司書コースでは、多くの受講生がレポートで苦戦します。
わたしもその一人でした。
近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
提出するたびに「また再提出かもしれない」と不安だったことを、今でも覚えています。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
というように、レポート作成に関する悩みを抱えている方も少なくないと思います。
そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「図書館サービス特論」の合格レポート(一部改変)を公開するとともに、レポートで評価された考え方や構成のポイントを解説します。
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「図書館サービス特論」のレポートです。

レポートの書き方に自信がない方は、まず第10回の記事をご覧ください。
レポートの作成技術を習得するための「おすすめ本2選」を紹介しています。

2 図書館サービス特論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2025~2026年度)より
設題(字数指定 2,000字)
身近にある公共図書館を実際に観察し、その図書館で行われている課題解決支援サービスの内容及び特徴を述べると共に、設置されている地域の課題を考えると、他にどのような課題解決支援サービスが実現可能か具体的に提示しなさい。
3 図書館サービス特論の合格レポートと講評
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、構成の意図が分かりやすくなります。
【レポートで意識した点】
「1はじめに」では、「課題解決支援サービス」の言葉の定義を明記した上で、今回のレポートではどのように論を展開していくのか明示した
「2同館の支援サービスの内容及び特徴」では、観察した図書館の「課題解決支援サービス」の概要を記述した。また、レポートの本題ではないため、文字数が多くならないように意識をした
「3地域の課題と実現可能な支援サービス」では、地域課題として「農林水産業の担い手の確保」を挙げるとともに、観察した図書館がまだ実施していない新しい「課題解決支援サービス」について、自らの意見を具体的に記述した
【合格レポート全文】
提出日:2025年8月17日
1はじめに
課題解決支援サービス (以下、 支援サービスと記載) は、「住民の生活や仕事に関する課題や、地域の課題の 解決に向けた活動を支援するため、住民の要望及び地域の実情を踏まえて実施されるサービス」(1)と定義されている。
本レポートでは、○○県立図書館 (○○市○○町○○番○○号) (以下、同館と記載) の支援サービスの実施状況について現地調査結果を報告し、併せて、○○県の地域課題として、「農林水産業の担い手の確保」を挙げ、実現可能な支援サービスについて記載する。
2同館の支援サービスの内容及び特徴
同館の支援サービスとして、1階には、「子育て・教育支援コーナー」、「医療・福祉支援コーナー」、「ビ ジネス支援コーナー」が設置されており、2階には、「郷土・歴史支援コーナー」が設置されている。
これら4つのコーナーが同館の支援サービスの柱である。
「子育て・教育支援コーナー」は、これから子育てする方や、子育て中の方などを対象としている。
子育てに関する課題を「名づけ」や「表庭教育・しつけ」 等の13のジャンルに分けて資料を排架することで、利用者が資料を探しやすいように工夫している。
「医療・福祉支援コーナー」は、医療・福祉に関する資料の中から、「病気を調べる」、「介護技術・言葉がけのヒント」 等の27のジャンルに分けて資料を排している。
また、国立研究開発法人国立がん研究センターが実施している「『がん情報ギフト』プロジェクト」(2)の一環として寄贈している「がん情報ギフトセット」を、県内の公共図書館として初めて寄贈され設置している。
「ビジネス支援コーナー」は、これから働く方、働く環境を変えようとしている方などを対象に、「就職・転職・職業案内・資格」など8のジャンルに分けて資料を排架している。
「郷土・歴史支援コーナー」は、県の歴史や現在の情報を伝える資料を提供しており、大きく「○○県史・ グラフ○○」、「郷土史」 の2つのジャンルに分かれている。
「○○県史」は県の史実を後世へ継承することを目的に作られた資料である。
一方、「○○」(3)は県が発行している広報誌で、県の主要政策や県政の動き, 県内各地の情報を県内外に紹介するための「○○な季刊誌」 である。
「郷土史」は、県内の市町村の郷土史が排架されており、調査等に活用されている。
また、各コーナーには「パスファインダー」が配置され、わかりやすい見出しとともに、関連する基本的な資料を検索するためのキーワードや参考図書、一般図書が紹介されており、利用者が効果的に図書館を活用するための工夫がなされている。
パスファインダーは同館のホームページでも公開されており、来館前に必要な資料にあたりをつけておくことも可能である(4)。
3地域の課題と実現可能な支援サービス
○○県は、令和5年の農業産出額が○○億円であり、全国○○位となっている(5)。
このことから、日本の食糧供給基地として重要な役割を担っている県といえる。
一方で、「○○の食、農業及び農村に関する年次報告書」 (6)によれば、農家人口は減少傾向で、平成22年の○○人から令和2年には○○人となり、10年前と比べ○○%減少している。
人口減少社会を迎える中で、農業を基幹産業として維持していくためには、これまで以上に「担い手の確保」が重要な課題となってくる。
なお、林業や水産業においても同様の課題が指摘されている(7) (8)。
このことから、同館では、県の農業・林業・水産業の行政部局と連携し、「担い手の確保対策を支援する」ための支援サービスを展開する意義があると考える。
具体的には、以下の2項目を実施する。
1点目は、同館が設置している「ビジネス支援コーナー」に、農林水産業への興味や関心を高め、就業につなげてもらうための資料を新たに配置することである。
例えば、県では、農林水産業の魅力を伝えるため、特産品などをPRするパンフレットなどの資料を作成している。
これを提供してもらい、図書館のノウハウを活用し、見やすく配置することで、利用者が自分の住む県の農林水産物の魅力を発見するきっかけを提供することができる。
2点目は、農林水産業に就業するための相談会や研修会などの情報を網羅したパスファインダーを作成することである。
県では、農林水産業の新規就業者を確保するため、農業では「○○相談会」(9)の開催、林業では「○○体験会」 (10)の開催など、各種施策を実施している。
図書館は多数の利用者が訪問する機関であることから、こうしたパスファインダーの設置が、担い手の確保に寄与する可能性がある。
このように図書館と行政部局が一体となって支援サービスに取り組むことは、行政支援につながるのみならず、図書館の存在意義をも高めていくことにつながる。
行政部局がどのような課題を持っているのかを把握し、時世に応じた支援サービスを展開していくことが図書館の望ましい姿であると考える。
【参考資料等】
(1)全国公共図書館協議会 「2015年度 (平成27年度) 公立図書館における課題解決支援サービスに関する報告書」
https://〇〇 (参照 : 2025年8月17日)
(2)国立研究開発法人 国立がん研究センターつくるを支える 届けると贈る『がん情報ギフト』 プロジェクト
https://〇〇(参照 : 2025年8月17日)
(3)〇〇県ホームページ 広報誌「〇〇」https://〇〇 (参照 : 2025年8月17日)
(4)〇〇県立図書館ホームページ 課題解決の支援情報
https://〇〇(参照 : 2025年8月17日)
(5 )令和5年生産農業所得統計
https://〇〇(参照 : 2025年8月17日)
(6)〇〇県ホームページ 〇〇に関する年次報告書 (令和〇年〇月) 参考資料○○ページ
https://〇〇(参照 : 2025年8月17日)
(7)〇〇県「 〇〇基本計画」 (令和〇年〇月)
https://〇〇(参照 : 2025年8月17日)
(8)〇〇県 「〇〇基本計画] (令和〇年〇月)
https://〇〇(参照 : 2025年8月17日)
(9)〇〇県ホームページ 令和〇年度「○○相談会」 を開催します
https://〇〇(参照 : 2025年8月17日)
(10)〇〇県ホームページ 令和〇年度「○○体験会」 の参加者募集
https://〇〇(参照 : 2025年8月17日)
【合格レポートの講評】
レポート拝読しました。
調査も十分に行い、教科書や課題も十分に理解した上で取り組んだ様子がうかがえます。
内容についても問題がないので、合格です。
4 図書館サービス特論のレポートで合格するために意識した3つのポイント
①まずは正確な設題理解
わたしは、レポートが合格するためには、丁寧な設題理解こそ最も大切だと考えています。
今回のレポートの設題では、
・身近にある公共図書館を観察すること
・観察した図書館における課題解決支援サービスの内容及び特徴を述べること
・図書館のある地域の課題が何かはっきり述べること
・レポートで設定した地域課題に対して、図書館の課題解決支援サービスで実現可能な対応策を考えること
が回答に求められている要件だと思います。
ところで、地域課題と言われても、何を選べばよいのか迷う方は多いと思います。
ぜひ、お住いの自治体のホームページを見てみてください。
自治体の仕事というのは、一言で言うと、「地域の課題を解決すること」ですので、自治体の資料はとても参考になると思います。
地域にはさまざまな課題があります。
自分が興味を持てるテーマを選ぶと、調査もしやすく、レポートも書きやすくなります。
例えば、「○○県 主要施策」、「○○県 課題」などと検索すると出てくると思います。
色々と検索をかけてみてください。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポートを作成するときに大切なことは、「何を書いて・何を書かないか」です。
文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。
しかし、
大切なことは、「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」です。
・設題に、理解できていない用語はないか
・問われていることは何か
・外したらいけないポイントはどこか
・どの程度の説明をすれば過不足がないだろうか
・どんな順番で文章を並べたら、読む人が分かりやすいか
・文字数が足りないときは、具体例を入れると分かりやすいのではないか
・文字数が多いときは、削れる表現がないか、もっと短い文章で書けないか
こういったポイントを一つひとつ確認しながら書いていけば、レポートの完成度は確実に上がります。
逆にこういったポイントを押さえていないレポートは不合格になってしまいます。
今回のレポートで問われているのは、わたしの言葉で書けば
「あなたが図書館員だとしたら、どのような地域課題を見つけ、それに対しどのような課題解決支援サービスを行いますか?」です。
したがって、レポートで重点を置くべきポイントは、「あなたなりの地域課題を設定すること」、それを踏まえて「あなたなりの課題解決支援サービスを提案すること」です。
図書館員として、地域の課題を把握しながら図書館運営を行ってほしいという、主体性が求められているレポートだと感じました。
③先生が期待するレポートの内容を想定する
今回のレポートは1回で合格することができました。
以下のように、設題理解が適切にできた結果だと考えています。
・身近にある公共図書館を観察すること
・観察した図書館における課題解決支援サービスの内容及び特徴を述べること
・図書館のある地域の課題が何かはっきり述べること
・レポートで設定した地域課題に対して、図書館の課題解決支援サービスで実現可能な対応策を考えること
これらをしっかりと意識した上で、レポートを書くことができました。
先生からは、「調査も十分に行い、教科書や課題も十分に理解した上で取り組んだ様子がうかがえます。内容についても問題がないので、合格です」という講評をいただきました。
「先生が期待するレポートの内容を想定して書くこと」ができたのではないかと思います。
「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」
レポートとは、究極的には「設題に正しく答える文章を書くこと」なのかもしれません。
5 まとめ
今回の記事では、近畿大学通信司書コースの「図書館サービス特論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べるとわかりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートの合格を決めるのは先生です。
したがって、レポートが合格するには、読んでもらう相手(先生)に「このレポートはいいな」と思ってもらうことが必要です。
ですので、文章を書くときには、常に読者(先生)の立場に立ってください。
そして、レポートが書けたら、改めて、読者(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分が書いた文章を、読者や先生の立場で読み返すことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読者にとって分かりやすい文章を書こう」という思いを持って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
司書資格は、一歩ずつ積み重ねれば必ずゴールにたどり着けます。
わたしもその経験者です。一緒に1科目ずつ乗り越えていきましょう。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
しかし、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!

わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。
次回も、実際に合格したレポートをもとに、「なぜその構成にしたのか」まで詳しく解説していきます。
最後に、レポートの作成技術を習得するための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。



