第11回【レポート編】近畿大学通信の司書レポート例|児童サービス論の合格レポートと考え方
1 はじめに
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
というように、レポート作成に関する悩みを抱えている方も少なくないと思います。
そこで、この記事では、
・実際に提出し合格したレポート(一部改変)を掲載します!
・どのような考えでレポートの構成を組み立てたのかを解説します!
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「児童サービス論」です。
5回提出してようやく合格できたレポートです。
だからこそ、一番多くのことを学ばせてもらいました。

「山本耕史と堀北真希の結婚前のエピソード」みたいなレポートだね
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2 児童サービス論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2025~2026年度)より
最寄りの公共図書館を1つ選んで訪問・調査し、テキストの記述を踏まえた上で児童サービス全般における資料の現状と課題について述べよ(字数指定2,000字)
3 児童サービス論の合格レポート
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、構成の意図が分かりやすくなります。
【このレポートで意識した点】
・「1はじめに」では、今回のレポートでどんなことを書くのか明示した
・「2調査対象図書館の概要」では、調査した図書館の特徴に触れた
・「3児童サービス全般における資料の現状」では、児童資料の現状について、調査した図書館のことではなく、公共図書館の全体的な現状を書くことに努めた
・「4児童サービス全般における資料の課題」では、蔵書構成という観点から課題を記述した
【合格レポート全文】
1はじめに
児童サービスは、子どもたちが、言葉や感性、表現力、創造性を身に付け、人生をより深く生きる力を身に付けるために必要なサービスである。
本レポートでは、最寄りの公共図書館の現地調査結果と、児童サービス全般における資料の現状と課題について記載する。
2調査対象図書館の概要
正式名称は〇〇市立図書館(以下、調査館と記載)で、所在地は〇〇県〇〇市〇〇丁目〇〇-〇〇である。
令和7年5月5日(月)の午後4時30分から6時まで調査を行った。
調査館は2階建ての施設であり、1階には児童書や絵本等を排架した「児童室」や赤ちゃんと保護者等が利用する「赤ちゃんえほんのへや」、おはなし会のための「おはなしのへや」がある。
また、レファレンスカウンターが児童室に隣接しており、声を掛けやすい雰囲気があり、親子がサービスを利用する場面も確認できた。
また、2階には「YA(ヤングアダルト)コーナー」がある。
児童室は絵本と児童書とを分けて排架し、請求記号は絵本はEと作者の頭文字、児童書はNDCを用いていた。
また、調査館作成のブックリスト掲載の絵本等は複本を用意していた。
なお令和6年度の児童図書の蔵書冊数は〇〇千冊で、全蔵書冊数の27%であった。また、児童図書の貸出冊数は〇〇万冊で、全貸出冊数の42%であった〔1〕。
3児童サービス全般における資料の現状
児童サービスの目的は「子どもの自発性を尊重しながら、子どもを楽しく豊かな本の世界に導き、子どもが求める知識や情報を手に入れる方法を教え、人類のよき遺産である資料を通して、一個の人間として成長するよう手助けすること」である〔2〕。
この目的を達成するため、図書館が提供する資料が児童資料である。
テキストでは、赤ちゃんから12歳までの児童を対象とした「児童資料」と、おおむね12歳から18歳までの青年期利用者を主な対象とした「ヤングアダルト資料」と区別して解説している〔3〕。
前者の児童資料の種類は主に①絵本、②伝承文学、③児童文学、④詩・ことばあそびなど、⑤ノンフィクション、⑥その他の資料(紙芝居、布の絵本、視聴覚資料など)に分類でき〔4〕、これらの児童資料を利用者の発達段階やニーズに応じて適切なタイミングで提供することが図書館の役割であり責務である。
また、児童資料の蔵書状況等について、「日本の図書館統計と名簿」によると、統計対象図書館の全体の蔵書冊数のうち、児童は125,093千冊で蔵書冊数に占める割合は27%であった。
また、図書の年間受入冊数のうち、児童は3,796千冊で年間受入冊数に占める割合は29%であった。
一方で、個人貸出数のうち児童は207,856千冊で、貸出数に占める割合は34%であった。
蔵書冊数の割合と比較すると貸出数の割合が高いことが確認できた〔5〕。
次に児童図書の出版状況について、国際子ども図書館のホームページによると、日本国内で2023年に出版された児童図書は6,464冊となっている。
内訳を多い順にみると、絵本が2,021冊で31%、文学・語学が1,327冊で20%を占めている〔6〕。
4児童サービス全般における資料の課題
3で記載したように児童資料を通じて子どもたちの成長を手助けすることが児童サービスの重要な目的の一つである。
そのため、児童資料の蔵書構成をどのようなものにすることが望ましいかについて検討していくことが重要な課題である。
児童資料の蔵書構成の特徴として、図書(資料)のタイプによって三層構造として把握する考え方がある。
これは、基本図書(子どもたちに長く読み継がれてきた優れた作品の集まり)が蔵書の大半を占め、次いで準基本図書(将来基本図書に入ると思われる図書群)、最新図書(最新の作品で将来準基本図書となるようなものや、どの子も好むというわけではないが特別ある分野に興味をもつ子どものために備えつけるものなどを含む図書群)と順次少なくなるという関係がある〔7〕。
基本的にはこうした三層構造を維持・継承しつつ、蔵書の新鮮さや質を保ち、利用者の潜在的・顕在的なニーズに応えていく必要がある。
このためには、個別の図書館における地域分析に基づいた資料収集方針の作成と、計画的、組織的かつ効果的な資料収集が必要である。
さらに、公共図書館の場合には、税金で資料を購入することから、児童資料の収集方針を成文化し公表・周知することが重要である。
一方で、資料収集方針がある場合も、児童図書は年間6千冊以上、絵本だけでも2千冊以上が出版されており、選書が非常に困難な状況である。
各図書館の司書など職員が児童資料について学び、利用者との交流からヒントをもらい、専門性を身に付け、子どもたちにとってよりよい選書を実行する営みが、児童資料の蔵書構成を今よりも一層充実していくために必要となるだろう。
【参考資料等】
〔1〕〇〇市立図書館「令和7年度図書館要覧」p〇〇 https://〇〇(参照日:令和8年1月26日)
〔2〕堀川照代編著「児童サービス論 新訂版」JLA図書館情報学テキストシリーズⅢ 6、日本図書館協会、2020年、p13
〔3〕近畿大学通信教育学部発行「児童サービス論」、令和3年1月発行、P60,135
〔4〕前掲書〔3〕P61~67
〔5〕日本図書館協会「日本の図書館 統計と名簿 2024」、p25
〔6〕「国際子ども図書館の蔵書からみる国内の児童図書の出版状況」https://www.kodomo.go.jp/info/publication(参照日:令和8年1月26日)
〔7〕日本図書館協会児童青少年委員会 児童図書館サービス編集委員会 編「児童資料・資料組織論」JLA図書館実践シリーズ19、児童図書館サービス2、日本図書館協会、2011年、p8~12
4 児童サービス論のレポートを書くときに考えたこと
①まずは正確な設題理解
設題は大きく2つのパートに分かれています。
「最寄りの公共図書館を1つ選んで訪問・調査」することと、「テキストの記述を踏まえた上で児童サービス全般における資料の現状と課題を述べること」です。
このことから、まずは最寄りの公共図書館を訪問・調査することが必要だと感じました。
次に、図書館では「どんなことを調査したらよさそうか」を事前に検討し、調査票を自分で作成しました。
テキストや参考書等、レポート設題集を見ながら、A4の紙に手書きで調査項目を書きました。
それを現地調査に持参し、結果をメモします。
これがレポートを書くための材料になります。
現地でしか得られない情報は、その場でしか集められません。
どんな材料がレポートに使えるか分からないので、細かく調査項目をまとめました。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポート設題集では、図書館の現地調査のポイントとして「分類、配架、資料の種類とそれぞれの充実度、サービス対象ごとの充実度」を挙げています。
これを読んだときに、レポートに「充実度」を記載するのは非常に困難だなと感じました。
例えば、「この図書館では絵本が充実している」とか「児童よりもYA向けが充実している」と言うためには比較が必要です。
今回のように、1つの図書館の調査だけでは、児童資料の種類やサービス対象ごとの充実度を記載するのは上手くいかなそうだと感じました。
他の図書館と比較することは可能かもしれませんが、レポート設題を読むと、他館との比較は求められていません。
ですので、「充実度」についてはレポートに書かない方針としました。
次に「レポートには図書館の正式名称・所在地・訪問日と時間帯を明記すること。(複数回訪問した場合は全て書いてください。) 」とあります。
これは事実を書けばいいので、正確に書いていけばよいですね。
しかし、よりよいレポートを書こうと考えるのであれば、「平日の昼間」と「休日の子ども向けのイベントがある時間帯」で図書館の雰囲気が違うのではないか?という視点はあってもいい気がします。
実際、親子連れや児童が多ければ、図書館職員の児童サービスがよく見えると思います。
そういう観点から、子どもがたくさんいそうな日時を選ぶというのは、ありかもしれません。
③先生が期待するレポートの内容を想定する
繰り返しになりますが、わたしは児童サービス論のレポートを5回提出しています。
そのため、不合格になったレポートの講評がありますので見ていきましょう。
このような講評は、これから学ぶ方にとって貴重なヒントになります。
こういう情報が後から学ぶ方にとっては、お宝なんですよね。

【講評一覧】
・単に訪問先の図書館の状況を書くだけでなく、問題文にあるように「テキストの記述を踏まえた上で」述べてください。理論と現状を組み合わせて考察することが目的です。
・レポートの「2児童サービスの概要」は設題にないので不要です。課題については、単に感想を述べるのではなく、テキストの記述を踏まえて、現状の課題点を分析してください。
・設題はサービスではなく資料についてですので、特に課題について、「資料の現状と課題について」「テキストの記述を踏まえた上で」述べてください。
これらをわたしの言葉で言い換えますと、以下のとおりです。
・調査した図書館の特徴を書いてって言ったけど、そのことばっかり書きすぎ!
・何事においても「過ぎる」ってのはよくない。文字数を減らして!
・調査した図書館だけの話ではなくて、図書館の全体的な話も書いてほしいな!
・テキストに良いこと書いているから、上手に引用してよね!
・児童向けのサービスのことを書いちゃってるけど、書いてほしいのは「児童資料のこと」なんだよね!
このように設題をしっかりと理解したつもりでも、言葉で書かれているため、微妙にニュアンスを取り違えることもあります。
児童サービス論のレポート設題に関しては、わたし自身は、設題文から受ける印象と、先生が求めていた内容との間に少しギャップを感じました。
最寄りの公共図書館の調査結果をレポートの中心に据えるのだろうという印象を強く受けたのです。
しかし、ふたを開けると、そうではありませんでした。
要するに、誤解を生みやすい設題文だったと思います。
少し愚痴っぽくなってしまいましたが、言いたいのは、「先生が期待する文章を想定してレポートを書きましょう」ということです。
今回のレポートに関しては、先ほど紹介した「わたしの言葉で言い換えた」内容こそが、「先生が期待するレポートの内容」からそれほど外れていなかったのではないかと思っています。
5 まとめ
今回の記事では、「児童サービス論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書く必要があるか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べるとわかりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートの合格を決めるのは先生です。
したがって、レポートが合格するには、読んでもらう相手(先生)に「このレポートはいいな」と思ってもらうことが必要です。
ですので、文章を書くときには、常に読者(先生)の立場に立ってください。
そして、レポートが書けたら、改めて、読者(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分の文章を他人(読者・先生)の目線で読むことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読者にとって分かりやすい文章を書こう」という思いを持って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
このシリーズでは、残りの科目についても、実際の合格レポートと考え方を順番に紹介していきます。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
しかし、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!

この記事を参考にして、レポート作成に悩む読者の皆さんが、自分自身の力で「合格するレポート」を作ることができたなら、わたしは幸せです。
