第19回【レポート編】近畿大学通信教育部の司書レポート例|図書館サービス概論の合格レポートと書き方・考え方
1 はじめに
【この記事で分かること】
・実際に提出して合格した「図書館サービス概論」のレポート(一部改変)を紹介します
・「図書館サービス概論」のレポートを、どのように考え、どのような構成で作成したのかを解説します
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
提出するたびに「また再提出かもしれない」と不安だったことを、今でも覚えています。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、レポート作成について悩んでいる方も少なくないと思います。
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「図書館サービス概論」の合格レポート(一部改変)を紹介します。
あわせて、このレポートを作成する際に、わたしが意識した考え方や構成のポイントも解説します。
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「図書館サービス概論」のレポートです。

レポートの書き方に自信がない方は、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」も紹介しています。
急がば回れで、レポート作成前にこの2冊を読むことを本当にオススメします。

2 図書館サービス概論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2023~2024年度)より
設題(字数指定 2,000字)
「身近な公共図書館(都道府県立より、市町村立が望ましい)を観察し、このテキストに書いてあることと比較しつつ、その図書館の特徴を述べ、またあなたの具体的で実現可能な希望を列挙してください。」
※この設題およびレポートは、わたしが受講した当時のものです。現在の設題・教材等とは異なる場合があります。
3 図書館サービス概論の合格レポートと講評
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、どのような意図で構成したのかが分かりやすくなります。
【レポートで意識した点】
【図書館の概要】
観察した図書館の特徴を、読者がイメージしやすいように説明した
【基本的なサービスについて】
①開架・排架、②貸出など、項目ごとに図書館サービスの特徴を説明し、調査対象の図書館のサービス状況を把握できるようにした
【対象別サービス】
①児童サービス、②高齢者サービス・障害者サービスに力を入れている図書館だと感じたため、その内容を記載した
【近隣の同規模自治体との比較】
近隣の自治体にある図書館と比較し、利用状況などの特徴を整理した。
【具体的で実現可能な希望】
観察の結果から、次の2項目を希望として挙げ、論述した。
①当館所蔵資料のブックリスト作成
②一般向け閲覧席の増設
【合格レポート全文(一部改変)】
提出日:2024年9月1日
【図書館の概要】
○○〇市立図書館(以下、当館と記載する)は、○○〇県の離島「○○〇」にあり、市役所から約○○〇mの距離に位置し、市の中心部に立地している。
当館の入る施設は○階建ての複合施設で、○階は市の子育て関連施設が入っており、○階が図書館となっている。
蔵書のある○階は児童向け、一般向けとエリアが分かれている。
○階は閲覧・学習室となっており、収容座席数は、約○○席である。
【基本的なサービスについて】
(1)開架・排架
蔵書冊数○○千冊のうち、約○○%の○○千冊が開架図書【1】となっており、大多数の資料は開架方式により閲覧可能である。
資料の排架は、同じ分類の資料群が一箇所に集められ、利用者が資料を比較・検討するのに適した排列になっている。
また、○階が子育て関連施設のため、親子連れが多く、サービスカウンターの近くに家事分野の資料を配架するなど、保護者の利用に配慮した工夫をしていると担当司書から話を伺った。
(2)貸出
貸出を受けるためには、利用登録を行い、利用者カードを作成する必要がある。
○○〇に住所がある方が利用対象となっている。
図書の利用条件は、貸出期間が2週間、貸出冊数は5冊までとなっている。
貸出方式は、コンピュータ式となっている。
聞き取り調査では、令和4年度 (2022年度)の貸出冊数は○○〇冊で、内訳は成人図書が○○〇冊(○○%)、児童図書が○○〇冊(○○%)となっていた。
また、○○〇年度から自動車図書館を運行しており、現在は「○○〇号」を運行している。
自動車図書館の収蔵数は令和4年度で約○○〇千冊である。
(3)複写サービス
当館では、複写サービスを行っていない。
(4)読書案内
間接的な読書案内としては、新刊図書のポスターによる紹介やブックリストの配布を行っている。
ポスターは図書館入口に掲示され、効果的な広報となり、新刊は貸出が多くなっている印象がある。
直接的な読書案内は、会計年度任用職員○名(うち○名が司書有資格者)が対応するが、司書資格のない職員の読書案内の技能向上が課題であると感じた。
(5)リクエストサービス
利用者の希望する図書が貸出中の場合、予約サービスを利用できる。
インターネット予約は行っておらず、電話や窓口での予約が必要である。
また、未所蔵の場合には、購入を希望するリクエストサービスや、県立図書館等からの相互貸借を依頼することができる。
ただし、県立図書館との相互貸借については、当館が離島にある特性上、資料が届くまでに相当の期間を要するとともに、月に2冊までという制限がある。
【対象別サービス】
(1)児童サービス
当館では、幼い頃から本に慣れ親しんでもらうため、「親子読書会」を月に1回開催している。主な対象は乳幼児から小学生位までであるが、誰でも参加可能としている。
図書館職員とボランティアで運営しており、絵本の読み聞かせや紙芝居、ストーリーテリング等を30分程度行っている。
令和4年度には、○○回開催している。
(2)高齢者サービス・障害者サービス
前述した自動車図書館では、高齢者施設、障害者施設等を巡回するルートを設定している。
異なる○つのルートがあり、月に○度巡回し、高齢者や障害者サービスを行う。
【近隣の同規模自治体との比較】
○○〇にある図書館で『日本の図書館 統計と名簿2022』に掲載されているのは、当館と「○○〇町立図書館」だけである。
そこで、両図書館について、参考文献【1】の数値を基に比較を行った。
○○〇市は、人口○○〇人、蔵書冊数○○〇冊、個人貸出数○○〇冊、資料費(図書費)○○〇千円であった。
○○〇町は、人口○○〇人、蔵書冊数○○〇冊、個人貸出数○○〇冊、資料費(図書費)○○〇千円であった。
これらの数値から、1人当たり蔵書数は、○○〇市○○〇冊、○○〇町○○〇冊となった。
1人当たり貸出冊数は、○○〇市○○〇冊、○○〇町○○〇冊となった。
1人当たり資料費(図書費)は、○○〇市○○〇円、○○〇町○○〇円となった。
【具体的で実現可能な希望】
(1)当館所蔵資料のブックリスト作成
出版者等が作成する既存のブックリストが配布されているが、当館にない資料も多い。
このため、当館が所蔵する資料でブックリストを作成したい。
対象者や年代、文学賞受賞作品等、テーマを決めてブックリストを作成することで、利用者の読書意欲の向上及び資料の貸出冊数の増加に寄与するものと考える。
(2)一般向け閲覧席の増設
一般向けの閲覧席が少ない。
ほとんどが児童向けであるし、3人がけのソファなど個人で使いにくい。
○階に閲覧室はあるが、蔵書のある○階から○階に上がる利用者は少ない。
居心地のよい閲覧席が○階にもあれば、利用者の満足度も向上すると確信する。
【参考資料等】
【1】日本図書館協会編『日本の図書館 統計と名簿 2022』公益社団法人 日本図書館協会 2023年 ○○〜○○〇,○○〜○〇頁
【合格レポートの講評】
○○〇市立図書館のことがよく調べられています。
一人当たりのデータは平均とも比べて評価してください。
ご希望が実現するよう、働きかけてみてください。
4 図書館サービス概論のレポートで合格するために意識した3つのポイント
①まずは正確な設題理解
わたしは、レポートが合格するためには、丁寧に設題を理解することが最も大切だと考えています。
今回のレポートで問われているのは、わたしの言葉で書けば、
「身近な公共図書館を観察・調査して基本的な図書館サービスの状況を把握できるかどうか。そのうえで、改善点を見つけ出し、説得力のある言葉で説明すること」
だと考えました。
したがって、レポートで重点を置くべきポイントは、
・テキストに記載されている図書館サービスを実際の図書館の現場で観察していること
・一つの図書館だけではなく、他の図書館との比較をすることで、特徴を述べていることt
・利用者としての目線で図書館を観察し、実現可能な改善点を見つけ、記述すること
だったと思います。
基礎的な図書館サービスの実施状況を観察し、司書としての基礎的な仕事の仕方や利用者の立場で図書館運営を考える視点を身につける。
その重要性を考えさせられるレポートだと感じました。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポートを作成するときに大切なことは、「何を書き・何を書かないか」です。
文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。
しかし、
大切なことは、
「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」
です。
そこで、わたしは次のようなポイントを一つひとつ確認しながらレポートを書きました。
・「設題に、理解できていない用語はないか」
・「問われていることは何か」
・「外したらいけないポイントはどこか」
・「どの程度の説明をすれば過不足がないだろうか」
・「どんな順番で文章を並べたら、読む人に伝わりやすいか」
・「文字数が足りないときは、具体例を入れると分かりやすいのではないか」
・「文字数が多いときは、削れる表現がないか、もっと短い文章で書けないか」
こういったポイントを一つひとつ確認しながら書いていけば、レポートの完成度は確実に上がります。
逆に、こうしたポイントを押さえられていないと、設題から外れたレポート(不合格)になってしまう可能性があります。
③講評から、評価されたポイントを考える
今回のレポートは1回で合格することができました。
設題を適切に理解できた結果だと考えています。
先生からは、
○○〇市立図書館のことがよく調べられています。
一人当たりのデータは平均とも比べて評価してください。
ご希望が実現するよう、働きかけてみてください。
という講評をいただきました。
「一人当たりのデータは平均とも比べて評価してください。」という指導のとおり、近隣自治体と比べるよりも、人口規模が同程度の自治体の全国平均と比べる方法が説得力があったかと思いました。ここは反省点です。
内容については、
先生から評価されたポイントを振り返ると、「何を問われているのか」を意識してレポートを書くことができたのではないかと思います。
「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」
レポートとは、究極的には
「設題に正しく答える文章を書くこと」
なのかもしれません。
5 まとめ
今回の記事では、近畿大学通信教育部図書館司書コースの「図書館サービス概論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べると分かりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートを評価するのは先生です。
だからこそ、文章を書くときには、常に読み手(先生)の立場に立ってください。
そして、レポートが書けたら、改めて、読み手(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分が書いた文章を、読み手(先生)の立場で読み返すことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読み手にとって分かりやすい文章を書こう」と思って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!
それに、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。

わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。
司書資格は、一歩ずつ積み重ねれば、必ずゴールにたどり着けます。
わたしもその経験者です。
一緒に1科目ずつ乗り越えていきましょう。
最後に、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。







