第15回【レポート編】近畿大学通信教育部の司書レポート例|生涯学習概論の合格レポートと書き方・考え方
1 はじめに
【この記事で分かること】
・実際に提出して合格した「生涯学習概論」のレポート(一部改変)を紹介します
・「生涯学習概論」のレポートを、どのように考え、どのように構成したのかを解説します
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学通信司書コースでは、多くの受講生がレポートで苦戦します。
わたしもその一人でした。
近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
提出するたびに「また再提出かもしれない」と不安だったことを、今でも覚えています。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、レポート作成に関する悩みを抱えている方も少なくないと思います。
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「生涯学習概論」の合格レポート(一部改変)を紹介するとともに、このレポートを作成する際に、わたしが意識した考え方や構成のポイントを解説します。
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「生涯学習概論」のレポートです。

レポートの書き方に自信がない方は、まず第10回の記事をご覧ください。
レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」を紹介しています

2 生涯学習概論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2023~2024年度)より
設題(字数指定 2,000字)
①生涯学習支援のために図書館が果たす役割とは何かについて述べなさい。
②生涯学習を振興するために、社会教育行政や施設の基本的な役割について述べなさい。
3 生涯学習概論の合格レポートと講評
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、どのような意図で構成したのかが分かりやすくなります。
【レポートで意識した点】
①の設題では、生涯学習の定義を確認したうえで、生涯学習支援における図書館の役割について説明した。
また、図書館が生涯学習を支援する役割について、資料・情報の提供や保存、レファレンスサービスなどの観点から整理した。
②の設題では、
社会教育行政の基本的な役割を整理したうえで、社会教育施設である公民館と博物館について、それぞれの役割を説明した。
設題で求められている内容を外さないように、①と②のそれぞれに対応する形でレポートを構成した。
【合格レポート全文】
提出日:2024年2月18日
①について
生涯学習は、1981年6月中央教育審議会の答申「生涯教育について」において、「自己の充実・啓発や生活の向上のため、自発的意思にもとづき、必要に応じ、自己に適した手段・方法を選んで生涯を通じて行う学習」とされている。
図書館とは、図書、雑誌、新聞、パンフレット、視聴覚資料、電磁的記録等の資料や情報を、司書等の専門的職員が中心となって収集・整理・保存し、貸出・複写・レファレンスサービス等によって提供する組織[1]であり、生涯学習を支援するためのさまざまな役割がある。
まず、利用者と利用者の求める資料や情報を結び付け、利用者の読書と学習を支援する役割がある。次に、日本を含む世界中の資料や情報を収集し、利用者に提供する役割がある。図書館のこうした資料・情報収集によって、地域や国境を越えた知識の流通・伝播・普及がなされ、利用者は、自国や世界に関するあらゆる情報を知ることが出来る。
さらに、過去の資料や情報を収集・保存し、次世代の利用者に提供することによって、世代間の文化的、知的遺産の蓄積と継承を行う役割がある。
図書館には、設置者や設置目的等によってさまざまな館種があるが、幅広い分野の資料を備え、乳幼児から高齢者まですべての人が無料で利用できる等の観点から、公立図書館が生涯学習支援のために果たす役割は大きい。
公立図書館では、1960年代以降、貸出サービス中心の運営を行い、利用者と貸出冊数の増加という成果を出し、その役割を担ってきた。一方で、産業構造や人々の生活の変化によって、人々の学習目的や学習要求は多様化・高度化し、これまでよりも積極的な図書館の在り方を検討する必要性が生じていた。
こうした背景から、これからの社会における公立図書館の在り方を検討するため、文部科学省生涯学習政策局に「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が設置された。同会議は2012年8月に「図書館の設置及び運営上の望ましい基準の見直しについて『これからの図書館の在り方検討協力者会議』報告書」を発表した。これを踏まえて文部科学省は、同年12月「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」を公示した。
同基準では、従来からの貸出サービスに加え、レファレンスサービスの充実・高度化に努めること、住民や地域の課題解決のためのサービスを実施すること等を求めている。
図書館には、こうした新たなサービスを積極的に展開し、生涯学習を支援する役割が今後より一層求められる。
②について
(1)社会教育行政の基本的な役割
教育基本法第12条では、社会教育について「個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体において奨励されなければならない」としたうえで、社会教育行政の基本的な役割として、「図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない」と規定している。
この教育基本法を受けた社会教育法の第3条では、国及び地方公共団体の任務として、「社会教育の奨励に必要な施設の設置及び運営、集会の開催、資料の作成、頒布その他の方法により、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない」と規定している。[2]
これらの規定を踏まえると、社会教育行政は、社会教育施設の設置や、講座・イベントの開催、社会教育に携わる指導者の研修など、さまざまな施策を通じて、人々の自発的・自主的な学習活動を奨励・促進・支援するところに主要な役割があるといえる。
(2)社会教育施設の基本的な役割
社会教育施設とは、もっぱら社会教育を行うために設置された教育機関である。[3]
設題①で記述した図書館を除き、以下で公民館、博物館の基本的役割について記述する。
公民館は、社会教育法第20条で「市町村その他一定区域の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする」と規定された施設である。この目的を達成するため、同法第22条で規定される各種事業を行うことが公民館の基本的な役割である。[4]
博物館は、博物館法第2条1項で「歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教育、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすること」を目的として規定された施設である。この目的を達成するため、同法第3条で規定される各種事業を行うことが博物館の基本的な役割である。[5]
【参考資料等】
[1]鈴木真理,馬場祐次朗,俵秀樹編集:『生涯学習概論』(樹村房:2014) P130
[2]上記 P47
[3]上記 P54
[4]上記 P55-56
[5]上記 P148
【合格レポートの講評】
最初の設題はこれでよいです。前回指摘した内容が丁寧に述べられています。地域の課題等を解決する新しい図書館像が求められています。
二つ目の設題はこれでよいです。
それぞれの社会教育施設の役割について個別に丁寧に述べられています。施設ごとに役割が違うので、目的に応じて活用することが求められます。
これで合格です。今後も精進して頑張ってください。
4 生涯学習概論のレポートで合格するために意識した3つのポイント
①まずは正確な設題理解
わたしは、レポートが合格するためには、丁寧な設題理解こそ最も大切だと考えています。
今回のレポートの設題では、2つの課題がありました。
①については、
・生涯学習とはなにか、しっかりと用語の理解ができているか
・生涯学習の支援と図書館を関連付けて、図書館の役割を記載できているか
②については、
・生涯学習の振興という観点から、社会教育行政と社会教育施設についての基本的な役割を記載できているか
が回答に求められている要件だと思います。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポートを作成するときに大切なことは、「何を書いて・何を書かないか」です。
文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。
しかし、
大切なことは、
「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」
です。
そこで、わたしは次のようなポイントを一つひとつ確認しながらレポートを書きました。
・「設題に、理解できていない用語はないか」
・「問われていることは何か」
・「外したらいけないポイントはどこか」
・「どの程度の説明をすれば過不足がないだろうか」
・「どんな順番で文章を並べたら、読む人が分かりやすいか」
・「文字数が足りないときは、具体例を入れると分かりやすいのではないか」
・「文字数が多いときは、削れる表現がないか、もっと短い文章で書けないか」
こういったポイントを一つひとつ確認しながら書いていけば、レポートの完成度は確実に上がります。
逆に、こうしたポイントを押さえられていないと、設題から外れたレポートになってしまう可能性があります。
今回のレポートで問われているのは、わたしの言葉で書けば
「生涯学習について理解できているか、図書館との関連を説明できるか」
「生涯学習を振興するための、社会教育行政と施設について基本的なことが説明できるか」
ということです。
したがって、レポートで重点を置くべきポイントは、
①については、
「生涯学習という概念を深く理解しているか」
「生涯学習と図書館を関連付けて図書館の役割を記載できるか」
②については、
「基礎的な事項を自分の言葉で論理的に説明できるか」
です。
図書館員として、図書館という施設が社会教育行政と生涯学習の観点からどういった役割を持つ施設なのか、考えさせられるレポートだと感じました。
③講評から、評価されたポイントを考える
今回のレポートは2回で合格することができました。
以下のように、設題を適切に理解できた結果だと考えています。
・生涯学習という概念
・生涯学習と図書館を関連付けて図書館の役割
・図書館以外の社会教育施設が、それぞれどのような役割を持っているのか
これらをしっかりと意識した上で、レポートを書くことができました。
先生からは、
「最初の設題はこれでよいです。前回指摘した内容が丁寧に述べられています。地域の課題等を解決する新しい図書館像が求められています。
二つ目の設題はこれでよいです。
それぞれの社会教育施設の役割について個別に丁寧に述べられています。施設ごとに役割が違うので、目的に応じて活用することが求められます。
これで合格です。今後も精進して頑張ってください。」という講評をいただきました。
「先生から評価されるポイントを意識してレポートを書くこと」ができたのではないかと思います。
「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」
レポートとは、究極的には「設題に正しく答える文章を書くこと」なのかもしれません。
5 まとめ
今回の記事では、近畿大学通信教育部図書館司書コースの「生涯学習概論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べるとわかりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートの合否を決めるのは先生です。
したがって、レポートが合格するには、読み手(先生)に「このレポートはいいな」と思ってもらうことが必要です。
ですので、文章を書くときには、常に読み手(先生)の立場に立ってください。
そして、レポートが書けたら、改めて、読み手(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分が書いた文章を、読み手(先生)の立場で読み返すことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読み手にとって分かりやすい文章を書こう」と思って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!
それに、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。

わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。
司書資格は、一歩ずつ積み重ねれば、必ずゴールにたどり着けます。
わたしもその経験者です。
一緒に1科目ずつ乗り越えていきましょう。
最後に、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。





