第21回【レポート編】近畿大学通信教育部の司書レポート例|図書館情報資源概論の合格レポートと書き方・考え方
1 はじめに
【この記事で分かること】
・実際に提出して合格した「図書館情報資源概論」のレポート(一部改変)を紹介します
・「図書館情報資源概論」のレポートを、どのように考え、どのような構成で作成したのかを解説します
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学図書館司書コースでは、わたしが受講した当時は、11科目のレポートに合格する必要がありました。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
提出するたびに「また再提出かもしれない」と不安だったことを、今でも覚えています。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、レポート作成について悩んでいる方も少なくないと思います。
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「図書館情報資源概論」の合格レポート(一部改変)を紹介します。
あわせて、このレポートを作成する際に、わたしが意識した考え方や構成のポイントも解説します。
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「図書館情報資源概論」のレポートです。

レポートの書き方に自信がない方は、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」も紹介しています。
急がば回れで、レポート作成前にこの2冊を読むことを本当にオススメします。

2 図書館情報資源概論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2023~2024年度)より
設題(字数指定 2,000字)
「公共図書館が収集するネットワーク情報資源の種類や特徴、提供事例について述べてください。また、若い世代に対して資源の利用をどのように広報・PRしていくべきかあなた自身の考えを含め、論じてください。」
※この設題およびレポートは、わたしが受講した当時のものです。現在の設題・教材等とは異なる場合があります。
3 図書館情報資源概論の合格レポートと講評
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、どのような意図で構成したのかが分かりやすくなります。
【レポートで意識した点】
【1ネットワーク情報資源とは】
「ネットワーク情報資源」の言葉の定義を記載し、用語を理解していることを明確にした。
【2公共図書館が収集するネットワーク情報資源の種類や特徴】
公共図書館が収集するネットワーク情報資源として、「電子書籍」、「電子ジャーナル」、「電子雑誌」、「デジタルアーカイブ」、「オンラインデータベース」について幅広く記述した。
【3若い世代に対して情報資源の利用の広報・PR】
若い世代に対して情報資源の利用を広報・PRするため、「学校関係者との連携」という視点から論述した。
【合格レポート全文(一部改変)】
提出日:2024年07月27日
1ネットワーク情報資源とは
ネットワーク情報資源とは、「インターネットを基盤とするコンピュータネットワークを介して、探索、入手、利用可能な情報資源」のことである【1】。
有形出版物とは異なり、物理的実体を持たず、利用のたびにウェブサイトにアクセスする利用形態をとる。
2公共図書館が収集するネットワーク情報資源の種類や特徴
本レポートでは、公共図書館が収集するネットワーク情報資源として、「電子書籍」、「電子ジャーナル」、「電子雑誌」、「デジタルアーカイブ」、「オンラインデータベース」について記述する。
電子書籍とは、「文章や画像がデジタル形式で作製されていて、コンピュータや携帯電話の画面に表示して読むタイプの本」のことである【2】。
2023年7月現在、全国1,788自治体のうち508 (28.4%) が電子書籍サービスを提供している【3】。
電子書籍の利点として、図書館に行かずとも利用できることや、音声読み上げ機能や文字拡大機能によって、視覚障害者や高齢者等が読書活動に取り組みやすくなることなどが挙げられる。
電子ジャーナルとは、「インターネットを通じて電子的に配信される学術雑誌」のことである【4】。
また、オンラインジャーナルとも呼ばれる。
利点として、図書館の開館時間に左右されず利用可能であること、冊子体よりも早く入手できること、検索機能により関連論文が利用可能であることなどが挙げられる。
一方で、ネットワークが不安定な状況で利用できなくなることや、電子ジャーナルの価格高騰に伴って図書館予算が圧迫されるといった問題がある。
電子雑誌とは、「電子ジャーナルとは区別して用いられ、商業雑誌などをオンライン上で読むことができる雑誌」のことである【5】。デジタル雑誌とも呼ばれる。
デジタルアーカイブとは、「有形、無形の文化財をデジタル情報として記録し、劣化なく永久保存するとともに、ネットワークなどを用いて提供すること」である【6】。
この担い手としては、図書館や博物館、美術館、研究機関などがある。
代表例としては、国立国会図書館の「国立国会図書館デジタルコレクション」がある。
オンラインデータベースとして、図書館は様々な種類のデータベースを提供している。
データベースには、有料・無料のものや、民間や官公庁が提供するものなどがある。
提供事例としては、雑誌記事を検索するための「国立国会図書館雑誌記事索引」や、辞書・辞典としての「コトバンク」、新聞記事では日本経済新聞社の「日経テレコン」、過去のウェブページが保存されている国立国会図書館の「インターネット資料収集保存事業」などがある【7】。
3若い世代に対して情報資源の利用の広報・PR
河井【8】によれば、広報には2つの目的があり、ひとつは「可視化」で、もうひとつは「行動変容」である。
本レポートでは、若い世代に対して、情報資源をどのように広報・PRしていくかという、行動変容の広報が求められている。
行動変容の広報に当たっては、「誰に」、「どのような」行動変容を期待するのかという目的を明確にする必要があることから、「若い世代」を「小学生から高校生までの学生」と定義づけるとともに、若い世代が「情報資源を利活用できるようになる」ことを目的として広報を検討する。
検討に当たっては、「若い世代が情報資源を利活用できるようになる」までの行動変容を段階的に考える必要がある。
すなわち、図書館の情報資源について知ってもらい(認知獲得)、情報資源が自らに役に立つと思ってもらい(関心惹起)、情報資源の多様な利活用方法を提供することで、利活用を促す必要がある(行動促進)。
こうした検討及び「GIGAスクール構想」でタブレット端末が児童生徒に配備された現在の状況下において、次のように具体策を提案する。
【関係者との調整・連携】
公共図書館の関係者は、自治体や教育委員会、小・中学校、高等学校等の関係者と調整・連携し、組織的に広報・PRを行っていくことが重要である。
【学校の授業の一環としての広報・PRの実施】
関係者との連携が確認できたら、まず、図書館担当職員が、学校の先生に対して、情報資源についての説明及び利活用についてのレクチャーを行う。
次に学校の先生は学校の授業の一環としてレクチャーを受けた情報資源の説明や利活用方法を児童生徒に教える。
児童生徒は授業で情報資源のことを認知するとともに、この利活用方法をタブレット端末等を利用して学校内外で情報資源の利活用を行うようになる。
授業内容については、児童生徒の学年等に応じた内容に設計し、低学年から高学年まで継続的に実施することで、児童生徒の情報リテラシーの向上にも寄与するものと思われる。
今回提案した広報・PRの手法は、図書館と学校関係者が連携する必要があるという点で、スタート段階でのエネルギーを必要とするが、軌道に乗れば、組織として継続的に対応を検討できること、学校の全生徒に対して広報できる点が優れていると考えている。
【参考資料等】
【1】日本図書館情報学会用語辞典編集委員会:『図書館情報学用語辞典 第5版』、P195
【2】馬場俊明:『図書館情報資源概論 三訂版 JLA図書館情報学テキストシリーズⅡ 8』、P85
【3】上記【2】のP86
【4】今まどか、小山素司:『図書・情報学基礎資料 第4版』、P116
【5】近畿大学通信教育部 森美由紀:『図書館情報資源概論』 平成28年4月1日発行、P64
【6】上記【1】のP162
【7】上記【5】のP59〜61
【8】河井孝仁:「図書館の広報を考える」『図書館雑誌』 2022年6月、P316,317
【合格レポートの講評】
全体的にポイントを押さえて記述できていますが、内容は一般的です。
PRについて、若い世代がどうしたら図書館に来館してもらえるのか、内容にもう少し深みがあれば良いでしょう。
4 図書館情報資源概論のレポートで合格するために意識した3つのポイント
①まずは正確な設題理解
わたしは、レポートが合格するためには、丁寧に設題を理解することが最も大切だと考えています。
今回のレポートで問われているのは、わたしの言葉で書けば、
「公共図書館が収集するネットワーク情報資源について知っている?若い世代がもっと資源を使ってくれるには、どうしたらいいとあなたは考えている?」
だと考えました。
したがって、レポートで重点を置くべきポイントは、
・ネットワーク情報資源とは何かについて説明すること
・ネットワーク情報資源の種類や特徴、提供事例について述べること
・若い世代に対して資源の利用をどのように広報・PRしていくべきか、自分の意見を述べること
だったと思います。
ネットワーク情報資源について基礎的な理解を深め、若い世代に対する情報資源の利用促進や広報・PRのあり方について、基礎的な視点を身につける。
その重要性を考えさせられるレポートだと感じました。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポートを作成するときに大切なことは、
「何を書き・何を書かないか」
「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」
です。
しかし、文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。
そこで、わたしは次のようなポイントを一つひとつ確認しながらレポートを書きました。
・「設題に、理解できていない用語はないか」
・「問われていることは何か」
・「外したらいけないポイントはどこか」
・「どの程度の説明をすれば過不足がないだろうか」
・「どんな順番で文章を並べたら、読む人に伝わりやすいか」
・「文字数が足りないときは、具体例を入れると分かりやすいのではないか」
・「文字数が多いときは、削れる表現がないか、もっと短い文章で書けないか」
こういったポイントを一つひとつ確認しながら書いていけば、レポートの完成度は確実に上がります。
逆に、こうしたポイントを押さえられていないと、設題から外れたレポート(不合格)になってしまう可能性があります。
③講評から、評価されたポイントを考える
今回のレポートは1回で合格することができました。
設題を適切に理解できた結果だと考えています。
先生からは、
全体的にポイントを押さえて記述できていますが、内容は一般的です。
PRについて、若い世代がどうしたら図書館に来館してもらえるのか、内容にもう少し深みがあれば良いでしょう。
という講評をいただきました。合格はしたものの深みがないとの指摘です。
わたしは、若い世代の図書館利用の現状把握が不足していたため、内容にもう少し深みを出すためには、現状を調査したうえで具体策を検討する必要があったと感じました。
ここは、今回のレポートを振り返るうえで、わたし自身にとって大きな学びになった部分です。
内容については、
先生から評価されたポイントを振り返ると、「何を問われているのか」を意識してレポートを書くことができたのではないかと思います。
「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」
レポートとは、究極的には
「設題に正しく答える文章を書くこと」
なのかもしれません。
5 まとめ
今回の記事では、近畿大学通信教育部図書館司書コースの「図書館情報資源概論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べると分かりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートを評価するのは先生です。
だからこそ、文章を書くときには、常に読み手である先生の立場に立つことが大切です。
そして、レポートが書けたら、改めて、読み手(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分が書いた文章を、読み手(先生)の立場で読み返すことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読み手にとって分かりやすい文章を書こう」と思って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!
それに、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。

わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。
司書資格は、一歩ずつ積み重ねていけば、ゴールに近づいていけます。
わたしもその経験者です。
一緒に1科目ずつ乗り越えていきましょう。
最後に、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。







