第17回【レポート編】近畿大学通信教育部の司書レポート例|図書館情報技術論の合格レポートと書き方・考え方
1 はじめに
【この記事で分かること】
・実際に提出して合格した「図書館情報技術論」のレポート(一部改変)を紹介します
・「図書館情報技術論」のレポートを、どのようなことを考え、どのように構成したのかを解説します
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学通信司書コースでは、多くの受講生がレポートで苦戦します。
わたしもその一人でした。
近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
提出するたびに「また再提出かもしれない」と不安だったことを、今でも覚えています。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、レポート作成について悩んでいる方も少なくないと思います。
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「図書館情報技術論」の合格レポート(一部改変)を紹介するとともに、このレポートを作成する際に、わたしが意識した考え方や構成のポイントを解説します。
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「図書館情報技術論」のレポートです。

レポートの書き方に自信がない方は、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」も紹介しています。

2 図書館情報技術論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2023~2024年度)より
設題(字数指定 2,000字)
レポート執筆者が考える「図書館を最大限に活用するため」または「図書館の利用を円滑にするため」という観点で着目した情報技術について、それらへの理解を深めた上で自身の意見を述べてください。
3 図書館情報技術論の合格レポートと講評
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、どのような意図で構成したのかが分かりやすくなります。
【レポートで意識した点】
1はじめに
レポートの導入を記載し、読み手が論の流れをつかみやすいように工夫した。
2OPACについて
OPACとは何かを説明した上で、利点や問題点、現在の利用状況まで整理し、OPACについての基本的な理解が伝わるようにした。
3OPACの導入効果
OPACの導入によって、図書館の利用者にどのようなメリットが生まれたのかを具体的に説明し、設題にある「図書館を最大限に活用する」「図書館の利用を円滑にする」という観点につなげるようにした。
4OPACの課題
OPACの利点だけを述べるのではなく、利用者が検索方法を十分に理解していない場合などに生じる課題についても取り上げた。その上で、図書館側にはどのような対応が求められるのか、自分自身の意見を述べるようにした。
【合格レポート全文(一部改変)】
提出日:2025年2月11日
1はじめに
本レポートでは、図書館を最大限に活用し、その利用を円滑にするための情報技術として、OPACを取り上げる。
OPACの概要を説明し、OPACの導入効果と課題について記述する。
2OPACについて
OPAC (Online Public Access Catalog)は、図書館の利用者が蔵書検索を行うための目録システムである。
「オンライン利用者目録」または「オンライン検索目録」の略称であり、オーパックやオパックと読む。
図書館蔵書の書誌情報をコンピュータに記録し、その図書館の蔵書データベースを作成すると、その図書館のMARC(機械可読目録)ができる。
このMARCを利用して、利用者が直接端末機からオンラインで図書館のセンターマシンと接続し、書誌データベースを検索することができるようにした目録システムのことである。
日本におけるOPACの導入時期は、図書館ハンドブックによれば、1980年代後半に始まっている。
OPACの利点として、図書館用語集では次の5点(①カード目録や冊子体目録に比べ、検索項目が多く、多様な検索を可能にすること、②検索項目の組合せや、検索結果の絞り込みも可能であること、③目録データ以外に、貸出情報(貸出中、予約状況、返却予定日など)や図書の発注・受入情報などを付加することができること、④カードの作成と挿入が不要になること、⑤インターネット接続を許容している図書館では、ウェブ上で図書館の蔵書情報を検索することも可能になること)を挙げている。
OPACの問題点として、図書館ハンドブックでは、例えば次の3点(①全文検索方式を採用したOPACの場合、ノイズが多くなること、②利用者から見て検索方法が図書館ごとやシステムごとに異なること、③検索結果が0件だとしても本当に所蔵していないのか、検索方法に問題があるのか判断がつきにくい)を指摘している。
OPACの検索画面は、通常「簡易検索」と「詳細検索」に分かれている。
「簡易検索」では、思いついた言葉を検索語として入力すると、タイトルや著者名をはじめとする書誌事項にその検索語が含まれる資料を検索することができる。
「詳細検索」では、タイトルや著者名、出版年などの書誌事項を組み合わせて検索することで、より精度の高い検索を行うことができる。
また、近年のOPACは、そのほとんどがウェブ上で利用できるようになり、このようなOPACはウェブOPACと呼ばれている。
ウェブOPACを利用することで、複数の図書館の所蔵資料を同時に検索することのできる横断検索システムを構築することも可能である。
例えば、国立国会図書館サーチのホームページ「総合目録ネットワーク」においては、都道府県立図書館等のOPACや総合目録、横断検索システムのリンクを掲載している。
3OPACの導入効果
ウェブOPACの導入によって、利用者は図書館に来館しなくても蔵書検索ができるようになった。
インターネットに接続できる環境さえあれば、場所と時間を問わずにアクセスが可能となったことで、利用者は自らが必要とする資料が図書館に所蔵されているかどうか、貸出できるかどうかを事前に確認することができる。
つまり、ウェブOPACの導入によって、利用者は必要とする資料が図書館で入手できることを確認してから来館できるようになった。
その結果、図書館で資料の探索に要する時間が短くて済む。
このように、ウェブOPACの導入によって利用者の利便性は大幅に向上した。
インドの図書館学者であるランガナタンが1931年にその著書の中で提示した「図書館の五法則」には、「図書館利用者の時間を節約せよ」という法則がある。
ウェブOPACの導入は、来館せずに蔵書検索や貸出状況の確認を可能にしたという点で、図書館利用者の時間の節約に寄与していると言えるだろう。
4 OPACの課題
OPACは利用者の利便性を向上させたが、一方で、根本は2017年に出版した著書の中で、「エウリディケを冥界から連れ出すオルフェウス」という絵画が掲載された画集をOPACで検索しようとしたものの、うまく検索できなかった体験を記している(5)。
OPACは直感的に操作ができるため、簡単な資料を探す場合には便利なツールであるが、利用者のOPAC検索に関する知識や技術によっては、必要な資料が蔵書されているにもかかわらず、検索できないケースや蔵書がないとみなしてしまうケースが想定される。
そのため、OPACの導入による恩恵を利用者が十分得るためには、利用者自身が一定の情報リテラシーを身につけていることが必要である。
そのため、図書館としては、OPACの使い方に関するセミナーやパスファインダーの作成を行うこと、また、OPACで探したい資料が検索できない場合にレファレンスコーナーの利用をアナウンスすることが必要だと考える。
【参考資料等】
(1) 日本図書館協会用語委員会編『図書館用語集 四訂版』公益社団法人日本図書館協会、2013年、20ページ
(2) 田窪直規編集・岡紀子ほか3名著『3訂 図書館と情報技術』株式会社樹村房、2023年、100ページ
(3) 日本図書館協会図書館ハンドブック編集委員会編『図書館ハンドブック 第6版増訂2版』2016年、65、347~349頁
(4) 国立国会図書館サーチ「国立国会図書館総合目録ネットワーク」
(5) 根本彰『情報リテラシーのための図書館』株式会社みすず書房、2017年、第1章「エウリディケを冥界から連れ出すオルフェウス」
【合格レポートの講評】
レポート拝読しました。
教科書等を十分に理解した上で、ご自身の意見も丁寧に述べられています。
内容については問題がないので、レポートは合格です。
4 図書館情報技術論のレポートで合格するために意識した3つのポイント
①まずは正確な設題理解
わたしは、レポートが合格するためには、丁寧に設題を理解することが最も大切だと考えています。
・図書館を最大限に活用する、利用を円滑にするという観点
・情報技術について記載する
・自分自身の意見を書く
「図書館で活用されている情報技術の中で、特にお世話になっている情報技術について、具体的に説明し、自分なりの意見を述べること」が、回答に求められているのだと、わたしは考えました。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポートを作成するときに大切なことは、「何を書き・何を書かないか」です。
文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。
しかし、
大切なことは、
「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」
です。
そこで、わたしは次のようなポイントを一つひとつ確認しながらレポートを書きました。
・「設題に、理解できていない用語はないか」
・「問われていることは何か」
・「外したらいけないポイントはどこか」
・「どの程度の説明をすれば過不足がないだろうか」
・「どんな順番で文章を並べたら、読む人に伝わりやすいか」
・「文字数が足りないときは、具体例を入れると分かりやすいのではないか」
・「文字数が多いときは、削れる表現がないか、もっと短い文章で書けないか」
こういったポイントを一つひとつ確認しながら書いていけば、レポートの完成度は確実に上がります。
逆に、こうしたポイントを押さえられていないと、設題から外れたレポートになってしまう可能性があります。
今回のレポートで問われているのは、わたしの言葉で書けば
「身近な公共図書館を利用するだけではなく、将来の司書として、図書館で使われている情報技術について一歩踏み込んで調べ、その役割や効果、課題について考えてみてほしい」
ということです。
したがって、レポートで重点を置くべきポイントは、
「図書館は情報技術によって、どれだけ利活用が進んだのか」
「一方、情報技術が導入されたことによる弊害なども検討が必要ではないか」
だったと思います。
将来、司書になったとして、自分の図書館で新たな情報技術を導入するとなった場合、利点と弊害の両方を考えるための基礎的な視点を身につける。
その重要性を考えさせられるレポートだと感じました。
③講評から、評価されたポイントを考える
今回のレポートは1回で合格することができました。
以下のように、設題を適切に理解できた結果だと考えています。
・設題に応じてOPACを取り上げたこと
・利点と欠点を記載した上で、課題があることも指摘したこと
・課題への対応についても意見を記載したこと
これらをしっかりと意識した上で、レポートを書くことができました。
先生からは、
「レポート拝読しました。
教科書等を十分に理解した上で、ご自身の意見も丁寧に述べられています。
内容については問題がないので、レポートは合格です。」
という講評をいただきました。
読み手(先生)の立場に立って、見出しをつけるなど、読みやすいレポート作成を心掛けることができました。
内容については、
「先生から評価されるポイントを意識してレポートを書くこと」ができたのではないかと思います。
「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」
レポートとは、究極的には
「設題に正しく答える文章を書くこと」
なのかもしれません。
5 まとめ
今回の記事では、近畿大学通信教育部図書館司書コースの「図書館情報技術論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べるとわかりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートを評価するのは先生です。
だからこそ、文章を書くときには、常に読み手(先生)の立場に立ってください。
そして、レポートが書けたら、改めて、読み手(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分が書いた文章を、読み手(先生)の立場で読み返すことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読み手にとって分かりやすい文章を書こう」と思って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!
それに、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。

わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。
司書資格は、一歩ずつ積み重ねれば、必ずゴールにたどり着けます。
わたしもその経験者です。
一緒に1科目ずつ乗り越えていきましょう。
最後に、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。







