第16回【レポート編】近畿大学通信教育部の司書レポート例|図書館概論の合格レポートと書き方・考え方
1 はじめに
【この記事で分かること】
・実際に提出して合格した「図書館概論」のレポート(一部改変)を紹介します
・「図書館概論」のレポートを、どのように考え、どのように構成したのかを解説します
こんにちは、そかをです。
30代社会人として働きながら近畿大学通信教育部の司書コースを受講し、2026年3月、2年半かけて司書資格を取得することができました。
振り返ってみると、司書課程で最も苦労したのは、間違いなくレポート作成でした。
近畿大学通信司書コースでは、多くの受講生がレポートで苦戦します。
わたしもその一人でした。
近畿大学図書館司書コースでは、11科目のレポートに合格する必要があります。
しかし、
わたしは約4割(4科目)のレポートが再提出となりました。
提出するたびに「また再提出かもしれない」と不安だったことを、今でも覚えています。
なかでも、児童サービス論は、5回目の提出でようやく合格するという苦労がありました。

ですから、司書コースで学習中の方には、レポート作成に関する悩みを抱えている方も少なくないと思います。
・そもそも文章を書くのが苦手だ
・レポートを書いたことがない
・レポートが上手く書けない
・レポートを提出したけれどなかなか合格できない
そこで、本記事では、近畿大学通信教育部司書コース「図書館概論」の合格レポート(一部改変)を紹介するとともに、このレポートを作成する際に、わたしが意識した考え方や構成のポイントを解説します。
「合格レポート」と「合格にたどり着くまでの思考」が、レポート作成の参考になれば幸いです。
今回は「図書館概論」のレポートです。

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2 図書館概論のレポート設題
図書館司書レポート設題集(2023~2024年度)より
設題(字数指定 2,000字)
公共図書館を1つ選び、レポートを作成しなさい。以下について記入すること。
・図書館の正式名称と所在地
・立地、予算、蔵書数、蔵書の年間増加数、貸出数、業務別職員数(内、過去数年間の採用者数、司書有資格者数)、収容座席数
・図書館サービスの種類と内容
・見学先の図書館に期待すること、改良すべき点、全体の感想等
3 図書館概論の合格レポートと講評
まずは、このレポートを作成する際に意識した点をまとめました。
レポート本文を読む前にご覧いただくと、どのような意図で構成したのかが分かりやすくなります。
【レポートで意識した点】
公共図書館の現地調査と文献調査の内容を、バランスよく記載する。
【合格レポート全文】
提出日:2024年1月7日
本レポートでは、「〇〇〇市立図書館 (〇〇〇シリツトショカン)」について、文献調査及び取材に基づき記載する。
〇〇〇市立図書館(以下、当館と記載する)は、〇〇〇県の離島「〇〇〇島」にあり、所在地は〇〇〇県〇〇〇市〇〇〇である。
〇〇〇市役所から約400mの距離に位置し、市の中心部に立地している。
『日本の図書館』によると、2021年度予算は、図書館費〇〇〇千円、資料費〇〇〇千円(うち、図書費〇〇〇千円)となっている。
また、蔵書冊数は〇〇〇千冊(うち、児童図書〇〇〇千冊)で、受入図書冊数(蔵書の年間増加数)は〇〇〇冊となっており、個人への貸出数は〇〇〇千点となっている。
職員については、非常勤職の4人(館長含む)となっている(1)。
館長以外の職員について、令和3〜4年度については、継続して同じ職員を3名採用している。
令和5年度には、令和4年度限りで1名退職したことから、新たに1名採用した。
全員が会計年度任用職員としての採用であり、このうち、司書有資格者は1名である。
なお、館長は司書資格を有していない。
収容座席数は、蔵書のある2階に約25席、閲覧や学習を行う3階に約40席となっている。
ここからは、当館が行う図書館サービスについて、「資料提供サービス」、「自動車図書館」、「親子読書会」について説明する。
はじめに「資料提供サービス」について説明する。
利用者が資料提供サービスを受けるには、まず利用登録を行い、利用者カードを作成する。
なお、令和4年度の新規登録者数は〇〇〇名であった。
利用条件は貸出期間が2週間、貸出冊数は5冊までとなっている。
令和4年度の貸出冊数は、〇〇〇冊で、内訳は成人図書が〇〇〇冊(〇〇%)、児童図書が〇〇〇冊(〇〇%)となっていた。
貸出にあたって、当館の資料が貸出中の場合、予約サービスを活用し、予約をすることが出来る。
また、当館にない資料は、他の図書館に相互貸借を依頼することが出来る。
例えば、〇〇〇県立図書館(以下、県図書と記載)に相互貸借を依頼する場合、貸出冊数は月2冊までとなっている。
相互貸借する資料の送料は、図書送付の際は県図書が負担し、当館送付の際は当館が負担する仕組みとなっている。
次に「自動車図書館」について説明する。
当館では〇〇〇年度から自動車図書館を運行しており、現在は「〇〇〇号」を運行している。
令和4年度の積載冊数は約〇〇〇冊である。
運転手(別の団体の職員が務める)と図書館職員の2名で運行している。
〇〇〇市内の集落や高齢者等施設を巡回する3つのルートがあり、各ルートを月に1度、巡回する。
令和4年度の自動車図書館の稼働日数は〇〇日間となっており、個人の利用者数は〇〇〇人で、個人の貸出冊数は〇〇〇冊となっていた。
1日当たり約〇〇〇人、約〇〇〇冊利用されている。
近年は、利用者等の増加を目指すこと、アウトリーチ的な役割を担うことを目的に、高齢者・障害者施設の巡回に力を入れているとのことであった。
最後に「親子読書会」について説明する。
児童サービスの一環で行われる親子読書会は、令和4年度については〇〇回開催された。絵本の読み聞かせや紙芝居、ストーリーテリング等が行われている。
当館の職員だけではなく、ボランティアの方が4名参加され、活動を盛り上げている。
ボランティアの方にとっても、日ごろの練習の成果を発揮する舞台として、やりがい創出の場になっていると感じているとのことであった。
「見学先の図書館に期待すること」について、親子読書会の開催等、親子に向けた活動を積極的に展開している印象を受けた。
今後とも、こうした活動に工夫を凝らし、子どもたちが読書を好きになるきっかけを与えていってほしい。
「改良すべき点」について、当館の貸出票に記載される利用者の氏名を非表示とするべきだと考える。
日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言(1979年改訂)」では「第3 図書館は利用者の秘密を守る」とし、「図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。」としている。
以前、利用した本の中で、過去の利用者の貸出票を見つけたことが複数回ある。
間接的に利用者の秘密が漏れてしまっている現在の状況は、同宣言の趣旨を踏まえると、望ましくないことから、改良すべきであると考える。
「全体の感想」について、レポートを書くにあたって、当館の司書資格を持つ職員の方にインタビューを行った。
実際に業務に携わる方にインタビューすることで、図書館を多様な側面から見つめるきっかけとなり、また司書資格取得に向けて刺激につながった。
「図書館を良くも悪くもするのは図書館員(3)」とあるように、司書の力量は図書館の魅力に直結すると感じ、司書を目指している自分をこれからも磨き続けていきたいと考えた。
【参考資料等】
(1) 日本図書館協会編『日本の図書館:統計と名簿2021』公益社団法人 日本図書館協会、2022年、66〜67頁、438頁
(2) 独立行政法人国際交流基金関西国際センター『図書館のしごと! よりよい利用をサポートするために(第2版)』2021年、96頁 第7章図書館サービス
(3) 竹内悊解説『図書館の歩む道:ランガナタン博士の五法則に学ぶ』2010年、68頁
【合格レポートの講評】
提出お疲れ様です。
設題のポイントをしっかり押さえ、大変よくまとめられています。
詳しく調査したことが内容から伝わってきます。
調査先図書館への所見も非常に納得できるものです。
この調子で引き続き頑張ってください。
※気になる点
・章や節に小見出しを付けてくれると読みやすいです。
4 図書館概論のレポートで合格するために意識した3つのポイント
①まずは正確な設題理解
わたしは、レポートが合格するためには、丁寧な設題理解こそ最も大切だと考えています。
今回のレポートの設題では、記入しなければならない内容が具体的に指示されていました。
・図書館の正式名称と所在地
・立地、予算、蔵書数、蔵書の年間増加数、貸出数、業務別職員数(内、過去数年間の採用者数、司書有資格者数)、収容座席数
・図書館サービスの種類と内容
・見学先の図書館に期待すること、改良すべき点、全体の感想等
「図書館という施設について、多角的な視点から調査し、自分なりの考察を加えること」が、回答に求められているのだとわたしは考えました。
②レポート作成時の留意事項・ポイント
レポートを作成するときに大切なことは、「何を書き・何を書かないか」です。
文章やレポートを書くことに慣れていないと、よいレポートを書くことよりも、文字数を満たすことが目的になってしまいがちです。
しかし、
大切なことは、
「問われたこと(設題)に対して、文章で的確に回答すること」
です。
そこで、わたしは次のようなポイントを一つひとつ確認しながらレポートを書きました。
・「設題に、理解できていない用語はないか」
・「問われていることは何か」
・「外したらいけないポイントはどこか」
・「どの程度の説明をすれば過不足がないだろうか」
・「どんな順番で文章を並べたら、読む人に伝わりやすいか」
・「文字数が足りないときは、具体例を入れると分かりやすいのではないか」
・「文字数が多いときは、削れる表現がないか、もっと短い文章で書けないか」
こういったポイントを一つひとつ確認しながら書いていけば、レポートの完成度は確実に上がります。
逆に、こうしたポイントを押さえられていないと、設題から外れたレポートになってしまう可能性があります。
今回のレポートで問われているのは、わたしの言葉で書けば
「身近な公共図書館を利用するだけではなく、将来の司書として、一歩踏み込んだ調査をしてみてほしい」
ということです。
したがって、レポートで重点を置くべきポイントは、
「図書館について調べるためにどんな文献があるのか」
「図書館の特徴を自分の言葉で記述できるか」
だったと思います。
将来、司書になったとして、自分の働く図書館と他の図書館を比較し、よりよい図書館運営をしていくための基礎的な視点を身につける。
その重要性を考えさせられるレポートだと感じました。
③講評から、評価されたポイントを考える
今回のレポートは1回で合格することができました。
以下のように、設題を適切に理解できた結果だと考えています。
・図書館という施設における貸出数等の実績
・調査した図書館の特徴的なサービス
・実際に図書館を訪問して得た情報
・調査先の図書館に対する自分なりの所見
これらをしっかりと意識した上で、レポートを書くことができました。
先生からは、
「提出お疲れ様です。設題のポイントをしっかり押さえ、大変よくまとめられています。詳しく調査したことが内容から伝わってきます。調査先図書館への所見も非常に納得できるものです。この調子で引き続き頑張ってください。」
※気になる点
・章や節に小見出しを付けてくれると読みやすいです。
という講評をいただきました。
一番最初に提出したレポートだったので、見出しなどがなく読みにくい印象を与えてしまいました。
その後は、読み手(先生)の立場に立って、見出しをつけるなど、読みやすいレポート作成を心掛けるようになりました。
そういった指摘を受けたものの、内容については、
「先生から評価されるポイントを意識してレポートを書くこと」ができたのではないかと思います。
「何を問われているかがしっかり理解できていれば、何を書くかが決まる」
レポートとは、究極的には
「設題に正しく答える文章を書くこと」
なのかもしれません。
5 まとめ
今回の記事では、近畿大学通信教育部図書館司書コースの「図書館概論」の合格レポートとレポートを作成するときに考えたことをまとめました。
どのレポートにも共通しますが、まずは設題をしっかり理解することが大切です。
設題をしっかり理解することができれば、なにを書くべきか決まってきます。
その上で、どんな順番で文章を並べるとわかりやすいレポートになるかを考えてみます。
また、当たり前すぎて忘れがちですが、レポートの合否を決めるのは先生です。
したがって、レポートが合格するには、読み手(先生)に「このレポートはいいな」と思ってもらうことが必要です。
ですので、文章を書くときには、常に読み手(先生)の立場に立ってください。
そして、レポートが書けたら、改めて、読み手(先生)の立場で文章を読み直してみてください。
自分が書いた文章を、読み手(先生)の立場で読み返すことができれば、少しずつですが、いい文章が書けるようになっていきます。
わたしも最初は書けませんでした。
だからこそ、今、わたしは普段から「読み手にとって分かりやすい文章を書こう」と思って、文章を書くようになりました。
最初は大変苦労しますが、最近は、少しできるようになってきた気がします。
分かりやすい文章を書くのは、いつになっても難しい作業ですが、上手く書けると嬉しいものです。
レポートを最初から上手く書ける人はいません。
1本ずつ丁寧に仕上げていきましょう!
それに、レポートを書く力は、司書になってからも役立ちます。

わたしが遠回りして学んだことが、これから司書を目指す皆さんの近道になれば、とても嬉しいです。
司書資格は、一歩ずつ積み重ねれば、必ずゴールにたどり着けます。
わたしもその経験者です。
一緒に1科目ずつ乗り越えていきましょう。
最後に、レポートの作成技術を身につけるための「おすすめ本2選」をこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。






